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耐脱亜鉛黄銅とは?

耐脱亜鉛黄銅とは? ― 黄銅(銅+亜鉛)をベースにスズ、鉛、ビスマスなどを添加して耐食性を高めた銅合金

耐脱亜鉛黄銅の紹介

耐脱亜鉛黄銅(Dezincification-Resistant Brass)は、銅(Cu)に亜鉛(Zn)を主成分とし、さらに錫(Sn)やビスマス(Bi)、微量の鉛(Pb)などを適切に加えることで、亜鉛が溶け出す「脱亜鉛腐食」現象を防止するよう設計された黄銅合金です。

この脱亜鉛腐食は、長期間水に触れる配管や継手部材で発生しやすく、内部からスポンジ状に腐食が進むことで強度低下や漏れを引き起こすことがあります。
耐脱亜鉛黄銅は、その問題を根本的に抑制し、耐久性・耐食性・衛生性を同時に確保します。

また、これらの材質はJIS規格で明確に区分されており、CAC211〜CAC232に分類される各種材質は、添加元素や成分バランスによって用途別に最適化されています。
水道・給水設備・建築配管・バルブなど、長期にわたり信頼性が求められる用途に最適な合金群です。

耐脱亜鉛黄銅の一般的な特徴

脱亜鉛腐食への高い耐性

水中での亜鉛溶出を抑制し、長期の使用でも金属組織の劣化を防ぐ。

優れた耐食性・耐久性

湿潤環境や温水・淡水に強く、屋内外の配管部材として長寿命化に寄与。

鋳造・加工性の良さ

溶湯の流動性が良く、複雑な形状や薄肉の鋳造にも対応。
機械加工や表面仕上げも容易で、量産性にも優れる。

環境・衛生への配慮

鉛溶出量が少なく、飲料水や衛生機器など人体に触れる用途にも安全。

リサイクル性

CAC232においては、多様な元素が含有されコンタミ性が良好のため、リサイクル性に優れる。

主な用途

  • 水道・配管関連部品(継手・バルブ・ナット・給水管・止水栓)
  • 給水・給湯設備部材(蛇口・ウォーターサーバー部品・給水金具)
  • 一般産業機械(ブッシュ、スリーブ、ポンプ、ウォームホイル)
     

JIS規格に基づく代表的な耐脱亜鉛黄銅材(鋳造材)

材料記号 特徴
CAC211CCAC211
(耐脱亜鉛黄銅鋳物11種)
銅(Cu)と亜鉛(Zn)を主成分に、少量の錫(Sn)と鉛(Pb)を加えた耐脱亜鉛黄銅材。
鉛を含むことで切削性と鋳造性を確保しつつ、脱亜鉛腐食への抵抗力を高めている。
一般的な黄銅鋳物と同等の機械的強度を保ち、耐食性に優れる。
給水・配管など、湿潤環境下で長期使用される部品に適する。
CAC221C/CAC221
 (耐脱亜鉛黄銅鋳物21種)
亜鉛系にビスマス(Bi)を添加した鉛フリータイプ。
他の3材種よりも機械的強度が高く、ニッケル(Ni)やアルミ(Al)を含有することで耐脱亜鉛性の
両立を実現している。
CAC231C/CAC231
(耐脱亜鉛黄銅鋳物31種)
亜鉛系にスズ(Sn)とビスマス(Bi)を組み合わせた高耐食仕様。
鉛フリー化を進めつつ、機械的強度と伸びを向上。耐脱亜鉛性・耐摩耗性ともに高水準の性能を持つ。
CAC232C/CAC232
 (耐脱亜鉛黄銅鋳物32種)
亜鉛系をベースに、スズ(Sn)とビスマス(Bi)を最適配合した当社開発環境対応型鉛フリー黄銅。
鉛を含まず、ビスマス添加により被削性能をアップ、耐食性・耐圧性・強度にも優れた耐脱亜鉛材。
アルミ(Al)、マンガン(Mn)、シリコン(Si)の含有も許容され、スクラップリサイクル性に優れる。

製造と供給形態

Jマテ.カッパープロダクツでは、用途や形状に合わせて多様な鋳造方法を採用しています。

連続鋳造材 丸棒・パイプ・六角棒など、高寸法精度・高品質な長尺材。外径30~285mmまで対応しています。
(受注生産対応)
遠心鋳造材 健全な外周組織が得られ、パイプ形状に最適です。1点から製作可能です。
熱間押出材 受注生産にて取り扱いとなります。詳しくは、問合せにて

寸法や在庫サイズについては、各材質の詳細ページにてご案内しています。

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