リン青銅とは?
リン青銅とは? ― 高強度・ばね性・耐摩耗性に優れた銅合金
リン青銅の紹介
りん青銅(Phosphor Bronze)は、青銅(銅+スズ)にリン(P)を微量添加した銅合金で、強度・ばね性・耐摩耗性を高めた高機能材料です。
リンの添加により弾性と疲労強度が向上するため、スプリング・電気接点・摺動部品などの精密部品に多く使用されています。
また、耐食性・導電性にも優れており、電気・電子部品、精密機械、楽器など幅広い分野で採用されています。

リン青銅の一般的な特徴
高強度・高ばね性
弾性に優れ、繰り返し荷重にも強く、スプリングや弾性部品に最適。
優れた耐摩耗性・摺動特性
金属疲労に強く、ベアリングやギアなど摺動部に適する。
高い耐食性
スズの特性により、高い耐食性を有し、錆びにくい特性を持つ。
良好な導電性と加工性
銅の導電性を活かしつつ、強度を維持。精密加工や薄肉製品にも対応可能。
音響特性に優れる
弾性や共振のバランスが良く、楽器や音響部品にも採用。
主な用途
- 電気・電子部品(接点・スイッチ端子・コネクタ・リレー・バッテリー端子 等)
- スプリング・ばね部品(精密ばね・板ばね・スプリングワッシャー・カムスプリング 等)
- 摺動部品・軸受・機械部品(ブッシュ・スリーブ・スライド部品・ギア・ベアリング・油圧シリンダ・製紙用ロール 等)
- 時計・精密機械部品(時計機構部品・精密計器・カメラ・計測機器用接点 等)
- 楽器部品(ピアノ線・ギター弦・金管楽器 等)
JIS規格に基づく代表的なりん青銅材(鋳造材)
| 材料記号 | 特徴 |
|---|---|
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CAC502C(PBC2C)
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スズ約10%・リンを添加した標準的なりん青銅(連続鋳造品)。 高い強度と弾性を持ち、疲労に強く、耐摩耗性にも優れる。 導電性・加工性のバランスが良く、精密部品にも適用可能。 |
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CAC502A(PBC2A)
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スズ約10%、リン約0.1%を含んだ合金。 高い弾力性と復元力を持ち、繰り返し変形に強い。 精密加工に適し、バネ・電気機器部品の信頼性を向上。 |
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CAC502B(PBC3C)
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スズ約10%、リン約0.35%を含んだ合金 リンを強化した高ばね性タイプ。高強度・高耐摩耗性を実現。 摺動性能が良く、潤滑条件の厳しい機構部品にも対応。 電気・機械特性のバランスが高く、長寿命化に寄与。 |
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CAC503C(PBC3C)
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スズ約13%・リン微量添加の高硬度タイプ。(連続鋳造品) スズ量が多いため502と比べより硬く、耐摩耗性・耐疲労性に優れ、荷重を受ける摺動部に最適。 加工性も保持しており、精密機構部にも対応可能。 |
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CAC503A(PBC2A)
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スズ約13%、リン約0.1%を含んだ合金。 高弾性と耐疲労性を兼ね備え、軽荷重の弾性部品に適する。 導電性にも優れ、電気・電子機器用途にも適用。 |
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CAC503B(PBC3B)
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スズ約10%、リン約0.35%を含んだ合金 鋳造性が良く、厚肉形状や複雑形状部品の製造にも適する。 高荷重下での摩耗・変形を抑え、長期使用に対応。 |
製造と供給形態
Jマテ.カッパープロダクツでは、用途や形状に合わせて多様な鋳造方法を採用しています。
| 連続鋳造材 | 丸棒・パイプの在庫展開をしています。在庫保有サイズ以外は受注生産対応になります。 |
|---|---|
| 遠心鋳造材 | 健全な外周組織が得られ、パイプ形状に最適です。1点からの製作が可能です。 |
寸法や在庫サイズについては、各材質の詳細ページにてご案内しています。