CAC703C (AlBC3C)
CAC703C(アルミニウム青銅連続鋳造鋳物)
CAC703C(アルミ青銅)は、Cu–Al を母材に Fe-Ni-Mn を含む高強度系の鋳物用銅合金です。
アルミ青銅の中でも引張強さと硬さが高く、実用的な延性を確保、衝撃性にも優れ、幅広い産業機械部品に使用されています。また海水耐食性にも優れるため、海水にさらされる環境でも優れた耐久性を発揮します。

概要
| JIS規格分類 |
アルミニウム青銅連続鋳造鋳物3種(記号:CAC703C / 旧記号:AlBC3C)
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|---|---|
|
合金系統
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Cu-Al-Fe-Ni-Mn系
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| 特徴 | 引張強さが特に大きく、耐食性及び耐摩耗性がよい |
材質特性(JIS 規格値)
| 項目 | 規格値 |
|---|---|
| 引張強さ (Tensile strength) |
≥ 610 N/mm²
|
| ブリネル硬さ (Brinell hardness HBW) |
≥ 160(10/3000)
|
| 伸び (Elongation) |
≥ 12 %
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| 密度 (Density) |
約7.65 g/cm³
|
※いずれも 受入れ基準(最小値)。寸法・形状・鋳造条件により実測は変動します。
化学成分(JIS AlBC3C
) 質量%
| 銅 (Cu) |
錫 (Sn) |
鉛 (Pb) |
亜鉛 (Zn) |
アルミ (Al) |
リン (P) |
ニッケル (Ni) |
鉄 (Fe) |
マンガン (Mn) |
シリコン (Si) |
アンチモン(Sb)
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
78.0~85.0
|
0.1max | 0.1max | 0.5max |
8.5~10.5
|
- |
3.0~6.0
|
3.0~6.0
|
0.1-1.5 | - | - |
JIS 用途例
- 軸受
- ポンプ部品
- 舶用ボルト・ナット
- 化学工業用機器部品 など
取り扱いサイズ
※当社在庫データ(JMB-Plus)より外径呼称のみ集計
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丸管(パイプ)
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φ 38.0 ~ φ 230.0(72件)
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|---|---|
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板(プレート)
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t 10.0 ~ t 150.0(28件)
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(詳細な「形状 × 外径/内径/板厚」の全組み合わせは在庫明細で提供可能です。)
CAC702C × CAC703C ― 違いと選定ガイド
1) 要点
- 強度・硬さ:703C > 702C(703Cは面圧・摩耗により強い)
- 延性(成形しやすさ):702C > 703C(702Cのほうが“割れにくい”)
- 耐食:どちらも高いが、海水・キャビテーションには 703C(Ni/Fe強化)が優位
- 加工性:702Cのほうが切削条件を詰めやすい/703Cは工具摩耗に配慮が必要
2)材質特性(JIS規格 機械的性質値)
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引張強さ ≥ (N/mm²)
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ブリネル硬度 ≥ (HBW) |
伸び ≥ (%)
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|---|---|---|---|
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CAC702C
|
540
|
120 | 15 |
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CAC703C
|
610
|
160 | 12 |
※いずれも受入れ基準(min)。寸法・形状・鋳造条件で実測は変動。
3)成分
- 共通:Cu–Al を主成分としてFe-Ni-Mnが含まれた銅合金。
- 702C:Al 8.0–10.5%、Fe 2.5–5.0%、Ni 1.0~3.0%
- 703C:Al 8.5–10.5%、Fe 3.0–6.0%、Ni 3.0~6.0% Fe/Ni をやや高めに配合(高強度・耐摩耗・耐食を狙う Ni–Al ブロンズ系)
→ 高価格のNi含有が高いため、702より若干原材料費が高い。
- 702C:Al 8.0–10.5%、Fe 2.5–5.0%、Ni 1.0~3.0%
4)用途の目安
- CAC702C:汎用バルブ・ポンプ、ブッシュ、一般ギヤ、重荷重の一般摺動部品、成形・据込みを伴う部品。
- CAC703C:舶用部品、弁座・ポンプインペラ、高面圧ギヤ/ウォーム、キャビテーション懸念部。
5)選定の指針
- 耐海水・高面圧・長期耐久 → CAC703C
- 延性・加工性・量産性重視 → CAC702C



