DXの取り組みについて
発信者(DX統括責任者):代表取締役社長 山本 耕治
更新日:2026年9月1日
1.企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性
当社の長期経営計画「サステイナブルビジョン2050」は、銅合金のイノベーションとリサイクルを通じた持続可能な社会への貢献、持続可能なものづくり、社員が成長し活躍できる職場づくり等を重要な方向性として掲げています。
当社の経営理念は、
「循環型社会の責任ある担い手として、限られた資源の有効活用を通じ、持続可能な社会の実現に貢献します」
です。
一方、当社を取り巻く経営環境では、生産年齢人口の減少、熟練技能者不足、安全・品質・納期・環境に対する要求の高度化、原材料・エネルギー価格の変動等への対応が必要となっています。また、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展により、業務の在り方や情報の活用方法も大きく変化しています。
こうした環境変化を踏まえ、当社では次のDXビジョンを掲げています。
- サステイナブルビジョン2050の実現に向け、DXを活用した業務変革と持続的な企業価値の向上を推進します。
- ものづくり力の強化に向け、生産性向上、技術継承及び人材育成を加速します。
- 地域企業や産学官金との連携を通じて地域のDX発展に貢献し、「めぐる資源、つながる未来。」の実現に向け、地域に選ばれる企業を目指します。
当社は、DXを単なるIT導入や省人化ではなく、サステイナブルビジョン2050を実現するための経営変革の手段と位置付けています。
現場で培ってきた改善活動とデジタル技術を組み合わせ、業務変革、生産性向上、技術継承、人材育成及び新たな価値の創出を進め、持続的な企業価値の向上につなげます。
データ活用については、初めから全社的な高度分析を目指すのではなく、まず、業務データ並びに製造・品質・設備データについて、入力方法や管理方法を整え、見える化と業務標準化を着実に進めます。
その基盤の上で、必要な領域からAI、IoT等のデジタル技術の活用を段階的に広げ、迅速な意思決定、異常の未然防止及び安定生産の実現を目指します。
個人の経験や部門ごとの個別管理に依存する業務から、標準化された業務プロセスと共有されたデータに基づき、限られた人員でも安全、品質及び納期を安定して確保できる業務モデルへの変革を進めます。
2.企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な戦略
当社は、DXビジョンを実現するため、
「社内DX」
「社外DX」
「地域プラットフォーム構築」
の3領域において、5つの戦略を推進します。
業務、製造、品質、設備、顧客及びナレッジに関するデータを、業務改善及び企業価値向上につなげる重要な経営資源として活用します。
これらの戦略を通じて、ものづくり力の強化、人材と知識の成長、顧客への提供価値の向上及び地域との共創を相互に連動させ、持続的な企業価値の向上につなげます。
また、経営が方向性と優先順位を示すトップダウンの取組と、各部署が現場課題を抽出するボトムアップの取組を組み合わせ、改善活動とデジタル技術の双方を活用してDXを進めます。
【社内DX】
戦略1
デジタル技術を活用し、知識の見える化、人材育成及び安全で働きやすい職場づくりを推進
安全・品質・環境・技術・設備及び業務に関する知識や経験を、熟練者や特定の担当者だけが保有するものではなく、会社の重要な資産として蓄積・活用します。
誰もが必要なときに必要な知識を活用できる環境を整備するため、知識や経験を構造化ナレッジとして体系化し、AIによる学習・検索・再利用を進めます。
ナレッジについては、単に情報を登録するだけではなく、分類、管理、承認、更新等の管理方法を整え、正確で利用可能な情報を継続的に維持します。
動画教材、多言語コンテンツ及び翻訳機能を活用し、若手社員や外国人従業員を含む多様な社員が、必要な知識を正確に学び、実際の業務へ活かせる教育環境を整備します。これにより、教育の効率化と技能継承を進め、特定の担当者に依存しない人材育成の仕組みづくりを進めます。
また、社員の知識習得と取引先への銅合金ナレッジの提供を進めるため、ブログ・メールマガジン等のコンテンツを継続的に作成します。
社員自身が情報を整理し発信することを通じて知識を深めるとともに、ホームページを、お客様や取引先が必要な銅合金情報へたどり着ける知識発信の基盤として整備します。
戦略2
生産性向上と業務変革を推進
生産性の向上及びコスト競争力の強化を図るため、JPS(Jマテ生産方式)をはじめとする現場の改善活動とデジタル技術を組み合わせ、既存業務をそのままデジタル化するのではなく、業務そのものを見直します。
製造実績、品質、設備、保全、日報等のデータについて、入力項目、入力方法及び管理ルールを可能な範囲で統一し、工程、設備状態、品質傾向及び作業進捗を部門横断で確認できる環境を整備します。
まずは、業務標準化、入力ミスの削減、重複作業の削減及び部門間の情報共有を着実に進めます。
その上で、必要な領域からIoT、AI等のデジタル技術を段階的に活用し、データの変化から異常の兆候を捉えることで、異常の早期発見、不良流出防止、設備停止の低減及び安定生産につなげます。
AI等による分析結果を活用する場合についても、必要に応じて根拠となる情報を確認し、人が行う判断との役割分担を明確にしながら活用します。
これらの取組を、生産性の向上、品質の安定化、作業負荷の低減につなげ、持続可能なものづくりを推進します。
【社外DX】
戦略3
自社のDXで培った知見を発信し、地域企業のDX推進を後押し
自社で取り組んだDX事例や改善プロセスを、単なる成功事例としてではなく、現状把握、課題整理、改善、試行、効果確認までを含む改善モデルとして整理し、地域企業へ発信します。
自社の成功事例だけでなく、試行錯誤や失敗から得られた知見についても共有し、地域企業が自社の業務へ取り入れられるよう、助言・伴走支援を進めます。
また、人材育成と多様な人材の活躍を支援するため、動画教材、多言語対応、翻訳機能及びAI活用等、自社で実践してきた仕組みや知見を発信します。
行政、金融機関、教育機関、支援機関等とも連携し、自社だけで支援を完結するのではなく、地域企業が必要な支援や知識へつながる環境づくりを進めます。
戦略4
DXを活用した新たな価値創出に挑戦
新たな機会やサービスの可能性を探索するため、DX推進を通じて蓄積した知見やデータを活用します。
顧客要望、問い合わせ、見積、受注、在庫、出荷、物流及び営業活動等に関する情報を整理し、部門間で共有できる業務の流れを構築します。
類似案件の検索、初期回答、見積・納期回答、営業フォロー及び物流手配等について、必要な情報へ迅速にアクセスできる環境を整えることで、顧客対応の迅速化と業務効率の向上を進めます。
また、顧客ニーズや市場動向を継続的に分析し、既存製品の提供価値向上と、付加価値の高い製品・サービスの創出につなげます。
既存事業の改善だけにとどまらず、デジタル技術と社内外の知見を組み合わせることで、新たな顧客価値と事業機会の創出に挑戦します。
【地域プラットフォーム構築】
戦略5
地域DX共創プラットフォームを構築し、持続的発展に貢献
DX認定事業者、地域企業、教育機関、行政、金融機関及び支援機関との連携を深め、地域DX推進の基盤を構築します。
自社が地域企業を一方的に支援するだけではなく、地域内の企業や関係機関がそれぞれの知識、経験及び実践事例を持ち寄り、互いに学び合える関係づくりを進めます。
セミナー、伴走支援、講演会、工場見学、地域連携イベント、事例共有及び共同検討等を通じて、改善とDXの実践ノウハウを共有します。
これにより、地域内で知識、人材及び実践事例が循環し、地域企業自身が継続的に改善やDXへ取り組める「地産地消のDX」の実現を目指します。
また、地域企業、教育機関、行政、金融機関等の接点を増やし、DXに関する知識や人材が特定の企業だけに集中することなく、地域全体へ広がる仕組みづくりを進めます。
これらの活動を通じて、地域企業の持続的な成長と地域産業の発展に貢献し、「めぐる資源、つながる未来。」の実現に向け、地域に選ばれる企業を目指します。
3.戦略を効果的に進めるための体制
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当社のDX宣言及びDX推進体制については、2026年8月19日開催の取締役会において、代表取締役社長より説明を行い、DX宣言の社内外への公表及びDX認定制度の更新申請に向けて取り組むことについて承認されました。
この取締役会で承認されたDX方針及び推進体制に基づき、2026年9月1日に「DX宣言書」「DXトップメッセージ」「DXの取り組みについて」を当社ホームページで公表しています。
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代表取締役社長をDX統括責任者とし、情報セキュリティを含む機能を備えた経営企画室をDX推進の中核として、各部署と連携しながら全社的にDXを推進します。
経営企画室は、DX方針の決定、案件の優先順位付け、全社調整及び案件管理を担います。
推進責任者は、全体推進及び部門間調整を担い、DX推進リーダーは、現場育成及び技術支援を担います。
また、システム開発、マクロ開発、IoT、AI及び情報セキュリティ等の関係担当者が、案件に応じて各プロジェクトを支援します。
各部署はDX改善目標を設定し、案件ごとにプロジェクトリーダーを定めます。
プロジェクトリーダーは、現場課題の改善、案件実行及び効果確認を担い、推進メンバーと連携しながら案件単位で自律的にDXを進めます。
DX推進会議は、プロジェクトリーダーを主体とした進捗確認、課題整理及び対応判断の場として位置付けます。
プロジェクトリーダー、推進メンバー及び部長職のオブザーバーにより、四半期ごとに各案件の進捗、指標、課題及び必要な対応を確認します。
現場からの提案や課題については、DX推進会議から経営企画室へ報告・提案し、全社方針や案件の優先順位へ反映します。
また、JPSプロジェクトでは、部長・取締役を中心に、各案件の成果を精査します。
これらの仕組みにより、
現場課題の発見
→ 改善案の検討
→ 案件実行
→ 効果確認
→ 経営への報告
→ 次の改善
というサイクルを継続します。
成果だけでなく、課題の発見、試行錯誤及び改善の過程も次の活動へ活かします。
また、DXを含めた、改善活動を提案表彰制度で成果を評価し、継続的な改善文化の醸成と人材育成を進めます。
4.DX推進への取り組み
当社は、各部署の業務課題を単独のシステム導入案件として扱うのではなく、安全、品質、生産性、業務負荷、技術継承、人材育成、顧客価値及び他部門への展開可能性等を確認し、優先順位を定めながら実行します。
DX推進担当者だけでなく、経営層、管理職、プロジェクトリーダー、現場担当者及びシステム関係者がそれぞれの役割に応じてDX活動へ参加し、研修、実案件でのOJT、資格取得、改善活動及び外部との連携等を通じて、DXを継続的に実践できる人材の育成を進めます。
主な取り組みは次のとおりです。
業務・製造データの見える化
作業日報、製造実績、品質、設備点検、保全、在庫及び物流情報について、入力項目や管理方法を見直し、基幹システム、現場アプリ、タブレット、スマートフォン及びIoT機器等を活用して、必要な情報を確認できる環境を整備します。
データを単に蓄積するだけでなく、生産状況、品質傾向、設備状態及び業務の進捗を把握し、迅速な意思決定と異常の未然防止に活用します。
ペーパーレス化及び定型業務の自動化
紙帳票、個別ファイル及び手入力作業を見直し、ワークフロー、RPA、AI-OCR等を活用して、入力、転記、集計及び確認作業の効率化を進めます。
既存業務をそのまま電子化するのではなく、業務の流れ、入力項目、承認方法及び役割分担を整理した上で仕組みを導入します。
品質・設備管理へのデジタル技術の活用
検査結果、画像、品質情報、設備状態及び停止履歴等を整理し、品質問題や設備異常を早期に把握できる環境を整備します。
AI画像認識、IoT等については、対象業務、目的及び効果を確認しながら、必要な領域から段階的に活用します。
教育・技能継承及び知識活用
安全、品質、環境及び技術に関する知識を構造化ナレッジとして体系化し、動画、多言語教材、翻訳機能及びAIによる学習・検索・再利用を進めます。
若手社員や外国人従業員を含む社員が必要な情報を自ら確認し、実際の業務や教育へ活用できる環境を整備します。
顧客・取引先への知識提供
銅合金に関する専門知識、製品情報及びDXの取り組み、改善事例を、ホームページ、ブログ及びメールマガジン等を通じて継続的に発信します。
ホームページを、お客様や取引先が必要な銅合金情報へたどり着ける知識発信の基盤として整備します。
地域企業との連携
自社で得られたDX事例、改善プロセス及び実践ノウハウを地域企業と共有し、助言・伴走支援へつなげます。
行政、金融機関、教育機関、支援機関、DX認定事業者及び地域企業等との連携を深め、地域全体で知識や人材が循環する仕組みづくりを進めます。
ITシステム環境・情報セキュリティ
当社は、業務で取り扱う情報、情報端末及びネットワーク等を重要な情報資産と位置付け、情報セキュリティに関する社内規程、各種標準及び手順書に基づいて管理しています。
社内規程は社内コミュニケーションウェアに集約し、社員が必要なときに確認できる環境を整備しています。
情報端末については、管理台帳を用いて利用者、設置状況及び変更履歴等を管理するとともに、利用者ごとのID及びアクセス権を設定しています。
また、人事異動や退職等に応じた権限の見直し、私物端末・外部媒体の利用制限、ソフトウェア更新等についても社内ルールに基づいて運用します。
IT資産管理・ログ監視ツール及びウイルス対策ソフト等を活用し、端末やネットワークの利用状況を継続的に確認します。
経営企画室を社内のDX推進及び情報セキュリティに関する中核機能とし、Jマテ.ホールディングスの情報システム部門、及び外部事業者と連携しながら、端末・ネットワーク管理、アクセス制御、バックアップ及び生成AIの安全な利用を進めます。
生成AIについては、業務効率化や知識活用に利用する一方、機密情報・個人情報、誤情報、著作権、情報漏えい等のリスクを踏まえて利用します。
AIの出力については、必要に応じて根拠となる情報を確認し、最終的な判断は利用者が行うことを基本とします。
今後も、情報セキュリティ教育及び監査・点検の仕組みを継続的に見直し、情報資産を適切に管理できる体制を強化します。
5.DX戦略の達成状況
DX戦略の達成度は、システムやデジタルツールの導入件数だけではなく、業務、人材及び地域に生み出した成果を確認しながら評価します。
全社共通のDX推進目標は、次のとおりです。
各部署が設定したDX改善目標の完遂
各部署が設定したDX改善目標について、プロジェクトリーダーを中心に進捗と成果を確認し、完遂を目指します。
目標期限:2028年8月まで
ナレッジ基盤及びAI活用コンテンツの継続拡充
安全、品質、環境、技術及び業務に関するナレッジ並びにAI活用コンテンツを継続的に整備します。
累計1,500件へ拡充
目標期限:2028年8月まで
件数だけでなく、実際の検索、閲覧及び業務での活用状況についても確認し、内容の充実につなげます。
地域との連携拡大
行政、金融機関、支援機関、DX認定事業者及び地域企業との連携を拡大し、セミナーや伴走支援、地域連携イベントの開催・協力を進めます。
目標:年4回以上
開始:2026年9月から
これらの全社目標に加え、各DX改善案件について、現状、目指す姿、成果指標及び期限を設定し、進捗と効果を確認します。
特に生産性向上については、業務時間、作業量、人員、品質及び設備等の実績を継続的に把握し、改善前後の変化を定量的に確認できる仕組みづくりを進めます。
各案件の進捗及び指標については、四半期ごとにDX推進会議で確認します。
また、JPSプロジェクトにおいて各案件の成果を精査し、その結果を今後の施策、案件の優先順位及びDX活動の見直しへ反映します。
6.経営者の情報発信
代表取締役社長は、DXをデジタル技術の導入そのものではなく、ものづくり力を高め、人材を育成し、持続的な企業価値の向上につなげる経営変革の一つとして位置付けています。
DXの方針、取り組み、成果及び課題について、ホームページ、DX事例、ニュースリリース、セミナー、工場見学等を通じて、社内外へ継続的に発信します。
自社の成功事例だけでなく、改善プロセスや実践を通じて得られた知見についても共有し、地域企業が自社の改善やDXに活用できる情報発信を進めます。
また、地域企業、行政、金融機関、教育機関、支援機関及びDX認定事業者等との対話を通じて得られた課題や要望を、今後のDX活動や地域連携へ活かします。
「DXセレクション2024」優良事例への選定を一つの契機として、自社のDXにとどまらず、地域企業への助言・伴走支援と地域DX共創プラットフォームの構築を進め、「地産地消のDX」と地域の持続的発展に貢献します。