日本金属プレス工業協会主催「第2回DX工場見学会」を開催
DX 2026年10月14日
Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
代表取締役社長 山本 耕治
2026年9月15日、一般社団法人日本金属プレス工業協会主催の2026年度第2回「DX工場見学会」を、Jマテ.カッパープロダクツ株式会社(以下、Jマテ)精機工場にて開催しました。
今回のテーマは、「地域連携によるレガシー化した基幹システム更新の取組み」です。Jマテと株式会社カワイ精工が、製造現場で進めてきた改善活動やシステム開発、生成AI活用について、実際の現場や事例を交えながら紹介しました。
当日は、金属プレス、金型、鍛造をはじめとした製造業や関係団体などから、引率者を含め26名にご参加いただきました。
DX工場見学会レポート
当日は参加者を2班に分け、Jマテの精機工場見学と、カワイ精工によるDX・AI活用の説明を交代で実施しました。
その後、両社による共同講演「ITシステム開発は要件定義が大きなポイント」と総合討論を行いました。
■Jマテ.カッパープロダクツ
工場見学では、現場改善を土台としたDXの取り組みを紹介しました。
- JPS(Jマテ生産方式)によるセル生産・1個流しライン
- RPAによる定型業務の自動化
- 画像寸法測定器と基幹システムの連携
- スマホアプリを活用した刃具・チップの入出庫管理
- モーションセンサーによる熟練者と新人の動作比較
- 動画、文字起こし、生成AIを活用した技能継承
- OPLや教育資料を活用したナレッジデータベース
Jマテでは、「考える仕事は人、繰り返す仕事はロボット(RPA)」を基本に、デジタル化そのものを目的とせず、「現場が楽になるか」を確認しながら小さく試し、効果を確認した上で横展開する進め方を紹介しました。
■カワイ精工
カワイ精工からは、約10年前から進めてきた自社DXと、その経験を新規事業へ発展させた事例を紹介しました。
- 紙・FAX中心だった業務のデータベース化
- 金型番号を軸とした図面・履歴・ノウハウの一元管理
- 現場社員を巻き込んだスモールスタート型のDX
- 自社システムの内製化と人材育成
- DXノウハウを活用した製造業向けIT事業
- ローカルAI、図面検索等の活用
- AIエージェントによる手順書作成、情報収集、システム開発
自社DXによって培った「製造現場を理解する力」と「システム開発力」を組み合わせ、現在は製造業向けのIT・AI事業へ活動を広げていることが紹介されました。
共同講演「DXその前に」
後半は、Jマテとカワイ精工による共同講演を行いました。
テーマは、「ITシステム開発は要件定義が大きなポイント」です。
ユーザー企業とITベンダーが「何を作るのか」「何が必要なのか」を具体的に擦り合わせる要件定義について、実際のシステム開発事例をもとに4つのSTEPで紹介しました。
- STEP1|現状を知る
紙、Excel、口頭確認、属人化したルール等を整理 - STEP2|物・情報・お金の流れを整理する
業務全体を俯瞰し、重複、待ち、例外処理等を確認 - STEP3|現場の要望をシステム要件へ変える
「一覧が欲しい」「通知したい」といった要望を、目的・画面・項目・条件まで具体化 - STEP4|現場と擦り合わせて仕様を決める
仮画面や現物を確認しながら、現場とITベンダーで認識を合わせる
システムありきではなく、「現場改善が先、システムは後」という両社共通の考え方を共有しました。
総合討論・質疑応答
講演後は、元湘南工科大学の片岡征二氏の進行のもと、参加企業が実際に抱えているDXやシステム開発の課題について意見交換を行いました。
■既存システムは追加開発するべきか、作り直すべきか
参加者から、既存システムへ何度も追加開発を行っている場合、改修を続けるべきか、新しく作り直すべきかという質問がありました。
カワイ精工からは、
- 基幹システム全体の入れ替えは大きなプロジェクトになる
- 追加開発を続ける前に、現在の業務を一度フラットに整理する
- データ設計やシステム構造を確認した上で判断する
との説明がありました。
Jマテからも、長年追加してきた機能を整理し、共通データを活用しながら周辺システムを連携させる方法を検討している事例を紹介しました。
■経営者とシステム担当者の視点の違いをどう埋めるか
「経営者は会社全体を見るが、システム担当者は技術中心になりやすい。両者をどうつなぐのか」という質問がありました。
Jマテでは、
- 経営者が会社の方向性を示す
- 現場が具体的な課題や改善案を出す
- DX推進担当が両者の間に入り整理する
- 案件ごとに少人数のプロジェクトチームを編成する
という役割分担を紹介しました。
1人にすべてを任せるのではなく、それぞれの得意分野を組み合わせて進めることが重要との考えを共有しました。
■「森」を見すぎると「木」に着手できない
参加者から、会社全体を考えすぎることで、目の前の改善に着手できなくなるという意見がありました。
両社からは、
- 経営側は大きなゴールを持つ
- 実際の取り組みは小さく始める
- 最初から完成形を求めない
- 成功・失敗を確認しながら徐々に広げる
という考え方を紹介しました。
Jマテでも、事務作業の削減から始め、工場、製造現場、技能継承へと段階的に活動を広げてきたことを説明しました。
■改善を継続する風土をどのように作るか
改善活動やDXを全社へ広げる方法についても質問がありました。
Jマテでは、
- 改善提案制度
- 改善研究発表会
- 月1回のDX推進会議
- 主任・係長クラスをリーダーとした改善活動
- トップダウンとボトムアップを組み合わせた推進
など、長年継続してきた改善活動を基盤とした仕組みを紹介しました。
カワイ精工からは、DXによる小さな成功体験を積み重ねる中で、社員から「もっとこうしたい」という意見が出るようになり、改善風土の形成につながったとの説明がありました。
■AIを活用する場合、自社データは必要か
AIエージェントについて、「データベースがなくても利用できるのか」という質問がありました。
カワイ精工からは、
- 一般的な業務であればインターネット上の情報等でも利用できる
- 自社独自の判断をさせる場合には自社データが重要
- 専門業務では、自社設備や過去の知識をAIが参照できる状態が必要
との説明がありました。
これまで蓄積してきたデータそのものが、今後AIを活用するための重要な資産になるとの考えを共有しました。
今後について
今回の見学会では、完成したシステムや成功事例だけではなく、現場改善、失敗事例、要件整理、運用定着まで含めて紹介しました。
DXの進め方は、企業規模や組織、業務内容、デジタル化の状況によって異なりますが、「まず現状を知る」「小さく始める」「現場と一緒に考える」という基本的な考え方は、業種を超えて共通する部分があります。
遠方は岡山県、愛知県などからもお越しいただきありがとうございました。当社では今後も、企業や業界の垣根を越えた情報交換を通じ、DXをきっかけとした新たな連携につなげてまいります。
【Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 代表取締役社長 山本耕治 のコメント】
当社では、システムやデジタルはあくまで会社を良くするための1つの手段だと考えています。まず自分たちで現場を見て、仕事の流れや問題点を整理し、その上で必要な部分をITベンダーと形にしていくことが重要です。
今回ご覧いただいたRPA、モーションセンサー、生成AIを活用した技能継承も、デジタルありきではなく、現場をどう楽にするか、属人化をどう減らすかという課題から始めています。一つの部署だけではなく、前後工程を含めた全体最適で考えることも大切です。
DXは一気に進める必要はありません。ネックとなる仕事や属人化した業務から小さく始め、改善を積み重ねていくことが重要です。今回の見学会を通じ、参加された皆様が自社でできる“次の一歩”を持ち帰っていただければと思います。
今後も、カワイ精工をはじめ地域の企業や関係機関とつながりながら、「地産地消のDX」を通じて上越・新潟全体の発展につなげてまいります。日本金属プレス工業協会様、工場見学遠方お越しいただきありがとうございました。
工場見学会の様子
Jマテ.カッパープロダクツ/カワイ精工 DX取り組み紹介

精機工場見学・現場DXの説明

カワイ精工 AI・DX事例紹介
共同講演「DXその前に」・総合討論


(担当 経営企画室 西本)
【会社概要】
■Jマテ.カッパープロダクツ株式会社・設立:2005年4月1日
・本社所在地:新潟県上越市大潟区土底浜2024-1
・代表者名:代表取締役社長 山本 耕治
・URL:https://www.jcp.joemate.co.jp/
・事業内容:銅合金連続鋳造品・遠心鋳造品・押出品の製造加工販売、銅合金地金の製造販売、上水道配管部品、産業機械部品