ニュースリリース

Jマテ.カッパープロダクツ、AI需要予測実現に向けた 令和4年度データ利活用型設備導入助成金 共同プロジェクトの成果と課題について 〜データ利活用モデルの促進へ〜

お知らせ2023年04月04日

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
代表取締役社長 山本耕治

 

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社(本社:新潟県上越市、社長:山本 耕治、以下「当社」)は公益財団法人にいがた産業創造機構 令和4年度データ利活用型設備導入助成金を活用し、2022年8月5日にプレスリリースにて公表致しました製造業におけるAI需要予測実現に向けた共同プロジェクトについてプロジェクト完了をお知らせ致します。

 

■背景について

当社は2022年8月5日にプレスリリースにて発表したINSIGHT LAB株式会社(以下「INSIGHT LAB社」)とのAI需要予測実現に向け共同プロジェクトを2022年8月より進めて参りました。受注が来てから対応する“守りの営業”から、販売予測を行い営業活動に反映をする“攻めの営業”への転換に向け、INSIGHT LAB社よりデータ利活用プラットフォーム「TERASU」の「+One」のソリューション提供を受け、共同で需要予測AIシステムを構築して参りました。

令和4年度データ利活用型設備導入助成金として採択され2023年2月末にプロジェクトが完了し、実施内容について成果と課題を取り纏めましたので発表いたします。

 

■プロジェクト実施内容について

受注進捗管理、生産状況管理ともに時系列データとしてとらえ、一般化加法モデル(将来予測で活用されるProphet※1 )を用いた時系列予測を行い、システム実装を行いました。

  • 受注進捗管理

目的変数(分析によって説明される側の変数)のみを用いた時系列での予測を実施しましたが、予測対象の値の上限と下限の平均に収束し、有意な結果を得ることができませんでした。 時系列予測を行うにあたっての問題点として、製品によって受注頻度の恒常性に大きく差があり、受注頻度が低い製品の時系列予測が難しい点が有効な結果が得られなかった要因と考えられます。

  • 生産状況管理

生産状況管理では入庫、出庫(外販)、出庫(移動)の3つの説明変数を用いて予測が行えるため、説明変数なし、ありそれぞれで予測を実施しました。また、説明変数の値を累計値に加工することで値に持続的な影響を与えたところ、予測値への影響が持続的になり精度向上が確認できました。

 

■プロジェクト成果について

今回のプロジェクトでは精度評価を実施し、予測対象製品は目的変数の変動が大きい計53製品で行いました。結果は、過去データのみの予測時の精度(Interval fit率※2)が67.2%だったのに対して、複数の説明変数を用いた後は71.4%となりました。結果として、目標としていた精度70%以上を達成することができ、実運用可能な水準となりました。今後も自社でこのInterval fit率 がどのように推移するかを検証し、データ検証を進めて参ります。

※1 Meta社によって開発された時系列解析用ライブラリ

※2 一定期間の予測値に於いて、Prophetで予測した際の予測値の上限と下限の間に収まっているデータポイント数の割合

 

プロジェクト課題について

受注進捗管理の予測モデル構築について、製品によって受注頻度の恒常性に大きく差があり、受注頻度が低い製品の時系列予測が難しいという課題が浮き彫りとなりました。この課題に対して「ゼロ過剰データ※3 に対するモデル調査」及び「受注予測を行う上での有効な説明変数の追加/調査」を経たうえでのモデル開発を進めることで、有効なモデル構築が可能になると考えられます。

※3 目的変数に0を多く含んでいる状態

 

開発後の今後の取組について

2023年2月に本共同プロジェクトは終了いたしましたが、今後当社は下記の2つのプロジェクトを継続して検証・改善する取り組みを重点的に進めて参ります。

 

  • 予測に対する全製品のInterval fit率の検証・改善

今回はモデル53製品について検証を行ったが、全製品に対し検証を引き続き行います。

Interval fit率をExcelに出力する機能を実装し、それぞれの平均の受注スパンのパターンの精度検証をおこない、結果を分析し、2023年秋に検証結果を公表する予定となります。

 

  • 2023年末に約100tの在庫削減

本プロジェクトでのモデル検証により70%の精度があることが確認できたため、在庫削減に向けて1製品ずつ生産計画時にAIを活用し、在庫削減施策を講じることで、2023年末中に約100tの在庫削減を目指します。

現在、AI予測データを基に営業部門と連携し、精度が伴うか否かを確認し、3月よりAI予測データを活用した営業活動を進めることが可能となりました。今後は、当社お取引先様に対し在庫データを始めとしたデータ利活用方法を模索し、お取引先様とDX推進の取り組みを引き続き進めて参ります。

 

【Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 西本プロジェクトリーダー のコメント】

当社では、勘や経験に頼らない営業活動、生産活動の改善をはかるため、最新のデジタル技術を活用し本プロジェクトを行って来ました。データ数、集計方法など知見が無い中でのスタートで、実績のあるINSIGHT LAB社との共同開発を通じ、当社のデータ構成や、受注形態、在庫状況などを短期間で理解して頂き開発は完了しました。精度向上についてもかなり難しい内容の中、精度70%の達成まで進める事が出来、無事に実運用まで進める事が出来ました。

県内の製造業においても需要予測や、データ利活用を検討している企業様もいらっしゃると思います。当社でも法人向け、月1回の発注など自社の特有の出荷形態が起因し難しい開発ではありましたが実用化まで進める事が出来ました。成果や取組、課題を通じ本プロジェクトの結果が、次のデータ利活用の取組の参考になればと思います。

 


  【会社概要】 Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
・設立:2005年4月1日
・本社所在地:新潟県上越市大潟区土底浜2024-1
・代表者名:代表取締役社長 山本 耕治
・URL:https://www.jcp.joemate.co.jp/
・事業内容:銅合金連続鋳造品・遠心鋳造品・押出品の製造加工販売、 銅合金地金の製造販売、上水道配管部品、産業機械部品