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JIS 銅合金鋳物 特性一覧

JIS H 5120・H 5121とは?
銅合金鋳物の種類・特性・材質選定をわかりやすく解説

銅合金鋳物には、青銅、りん青銅、アルミニウム青銅、高力黄銅、鉛青銅など多くの種類があり、用途や使用環境によって適した材質が異なります。

JISでは、銅および銅合金鋳物についてJIS H 5120、銅合金連続鋳造鋳物についてJIS H 5121が定められています。

実際の材質選定では、JIS記号や規格上の引張強さ・伸びに加え、硬度、被削性、耐摩耗性、耐海水性、耐圧性、価格及び用途を総合的に比較する必要があります。

Jマテ.カッパープロダクツでは、銅合金の鋳造・連続鋳造・遠心鋳造・加工を行ってきた経験をもとに、代表的なCAC材質の特性を一覧にまとめました。

「どの銅合金を選べばよいかわからない」「CAC406と他の青銅材を比較したい」「耐摩耗性や耐海水性を重視したい」といった材質選定の際にご活用ください。


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代表的なJIS 銅合金鋳物の特性比較

表の見方

一覧では、JIS記号ごとの引張強さ・伸びの規格値に加え、硬度、被削性、耐摩耗性、耐海水性、耐圧性、価格及び合金の特徴を整理しています。
硬度・被削性・耐摩耗性・耐海水性・耐圧性の◎・〇・△及び価格区分は、JISの規格区分ではなく、JISの規格値・合金の特色を主根拠に、一般技術資料で補完した比較評価です。
Jマテ.カッパープロダクツが材質比較の目安として整理した参考評価となります。実際の材質選定では、使用条件、形状、荷重、温度、流体、加工条件等によって適否が異なります。

評価:◎=JISの特色で明確に優れる、又は一般資料で特に優れる 〇=良好・標準 △=劣る、又は使用上の注意が大きい
価格:A=高、B=CAC406と同等またはそれに近い価格、C=低

名称 JIS記号 引張強さ
N/㎟
伸び
%
硬度 被削性 耐摩耗性 耐海水性 耐圧性 価格 合金特徴
青銅鋳物 CAC401
CAC401C
165min
195min
15min
15min
B 被削性がよく、鋳物は湯流れ、連続鋳造品はろう付け性・はんだ付け性にも優れる。
青銅鋳物 CAC402
CAC402C
245min
275min
20min
15min
A CAC406系より耐圧性・耐摩耗性、引張強さ、伸びに優れ、鉛浸出量も少ない。耐海水性は青銅系として良好。
青銅鋳物 CAC403
CAC403C
245min
275min
15min
13min
A CAC406系より耐圧性・耐摩耗性、引張強さ、伸びに優れ、鉛浸出量も少ない。耐海水性は青銅系として良好。
青銅鋳物 CAC406
CAC406C
195min
245min
15min
15min
B 耐圧性・耐摩耗性・被削性に優れ、砂型等の鋳物では鋳造性もよい。
青銅鋳物 CAC407
CAC407C
215min
255min
18min
15min
B CAC406系より引張強さ・伸びが高い。砂型等の鋳物では耐圧性・耐摩耗性もよい。
青銅鋳物 CAC408
CAC408C
195min
245min
15min
15min
B CAC406系の低鉛組成材。強度・伸び・耐摩耗性・耐圧性は同等だが、被削性は劣る。耐海水性は青銅系として良好。
青銅鋳物 CAC411
CAC411C
195min
245min
15min
15min
B 硫化物分散型で鉛浸出量がほとんどない。強度・伸びはCAC406系と同等で被削性は劣る。砂型等の鋳物では厚肉品の耐圧性がよい。
りん青銅鋳物 CAC502B
CAC502C
295min
295min
5min
10min
A 一般環境での耐食性・耐摩耗性に優れ、鉛浸出量が非常に少ない。耐海水性はりん青銅系として良好。
りん青銅鋳物 CAC503B
CAC503C
265min
295min
3min
5min
A 硬さが高く耐摩耗性に優れ、鉛浸出量も非常に少ない。
アルミニウム
青銅鋳物
CAC701
CAC701C
440min
490min
25min
20min
B 引張強さ・じん性・曲げ特性に優れ、耐海水性・耐熱性・耐摩耗性・低温特性がよい。海水関連部品の候補材。
アルミニウム
青銅鋳物
CAC702
CAC702C
490min
540min
20min
15min
B 引張強さが大きく、耐海水性・耐摩耗性に優れる。海水関連部品の候補材。
アルミニウム
青銅鋳物
CAC703
CAC703C
590min
610min
15min
12min
B 引張強さが特に大きく、耐海水性・耐摩耗性に優れる。砂型等の鋳物は大形品に適し、海水関連部品の候補材。
アルミニウム
青銅鋳物
CAC704 590min 15min B 単純形状の大形鋳物に適し、引張強さが特に大きく、耐海水性・耐摩耗性に優れる。連続鋳造品の規定はない。
高力黄銅鋳物 CAC301
CAC301C
430min
470min
20min
25min
C 一般の黄銅鋳物より引張強さ・硬さが高く、じん性もよい。連続鋳造品は砂型等の鋳物より強度・硬さが高い。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。
高力黄銅鋳物 CAC302
CAC302C
490min
530min
18min
20min
C CAC301系より引張強さ・耐摩耗性に優れる。連続鋳造品は硬さ・剛性にも優れる。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。
高力黄銅鋳物 CAC303
CAC303C
635min
655min
15min
18min
C CAC302系より引張強さ・硬さ・耐摩耗性に優れる。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。
高力黄銅鋳物 CAC304
CAC304C
755min
765min
12min
14min
C 高力黄銅鋳物の中で引張強さ・硬さが最も高く、高荷重での耐摩耗性に優れる。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。
鉛青銅鋳物 CAC602 195min 10min A 耐圧性・耐摩耗性に優れる。連続鋳造品の規定はない。
鉛青銅鋳物 CAC603
CAC603C
175min
225min
7min
10min
A 面圧の高い軸受に適し、なじみ性に優れる。
鉛青銅鋳物 CAC604
CAC604C
165min
220min
5min
8min
A CAC603系よりなじみ性に優れる。
シルジン青銅
鋳物
CAC804
CAC804C
300min
350min
15min
18min
C 鉛浸出量がほとんどなく、耐脱亜鉛性に優れる。CAC406系より高強度だが被削性は劣る。砂型等の鋳物では湯流れもよい。
ビスマス青銅
鋳物
CAC901
CAC901C
215min
245min
18min
25min
A 鉛浸出量がほとんどなく、CAC902系より強度・伸び・耐圧性に優れるが、被削性は劣る。鋳物は厚肉品の耐圧性がよく、連続鋳造品はCAC406Cよりも耐圧性に優れる。
ビスマス青銅
鋳物
CAC902
CAC902C
195min
245min
15min
20min
A 鉛浸出量がほとんどなく、被削性はCAC406系より劣る。鋳物は鋳造性もCAC406より劣る。
ビスマス青銅
鋳物
CAC903B
CAC903C
215min
245min
15min
15min
A 鉛浸出量がほとんどなく、被削性はCAC406系と同等。
ビスマス青銅
鋳物
CAC904
CAC904C
195min
245min
15min
15min
A 鉛浸出量がほとんどなく、耐圧性はCAC902よりよく、厚肉鋳物に適する。連続鋳造品の被削性はCAC406Cより劣る。
ビスマス青銅
鋳物
CAC905
CAC905C
195min
245min
15min
20min
A 鉛浸出量がほとんどなく、被削性はCAC406系より劣る。鋳物は鋳造性もCAC406より劣る。
ビスマス青銅
鋳物
CAC906
CAC906C
195min
245min
15min
20min
A 鉛浸出量がほとんどなく、被削性はCAC406系より劣る。鋳物は鋳造性もCAC406より劣る。
ビスマスセレン青銅鋳物 CAC911
CAC911C
195min
245min
15min
15min
A 鉛浸出量がほとんどなく、被削性はCAC902系よりよい。
ビスマスセレン青銅鋳物 CAC912 195min 15min A 鉛浸出量がほとんどない。CAC911と同等の特性をもち、100℃以上では高温特性がよりよい。連続鋳造品の規定はない。
黄銅鋳物 CAC201 145min 25min C ろう付けしやすい。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。連続鋳造品の規定はない。
黄銅鋳物 CAC202 195min 20min C 黄銅鋳物の中では比較的鋳造しやすい。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。連続鋳造品の規定はない。
黄銅鋳物 CAC203 245min 20min C CAC202より引張強さが高い。海水環境では脱亜鉛腐食に注意。連続鋳造品の規定はない。
耐脱亜鉛
黄銅鋳物
CAC232
CAC232C
195min
245min
15min
20min
C 耐脱亜鉛性に優れ、強度・伸びはCAC406系と同等だが被削性は劣る。海水環境では黄銅系より有利だが、使用条件の確認が必要。鋳物はCAC203・CAC406より被削性が劣り、連続鋳造品は鉛浸出量がほとんどない。

銅合金辞典
その砲金、何に使いますか?用途から逆算する「失敗しない材質選定」 | 銅合金辞典

銅合金の「硬さ」と「伸び」のトレードオフ──材質選定で失敗しないための評価指標 | 銅合金辞典

 

JIS H 5120とJIS H 5121の違いは?

JIS H 5120とJIS H 5121では、対象となる銅合金鋳物の製造方法が異なります。

JIS H 5120は、砂型鋳造、金型鋳造、遠心鋳造、精密鋳造などによって製造される銅および銅合金鋳物を対象とし、連続鋳造は対象外です。

JIS H 5121は、連続鋳造によって製造される銅合金連続鋳造鋳物を対象としています。同じ合金系統でも、鋳造方法によって適用規格と記号が異なるため、JIS記号だけでなく製造方法も確認する必要があります。

当社では、JIS H 5120及びJIS H 5121に対応する鋳造品を取り扱っています。

なお、JIS H 5121の機械的性質は、原則として外径100 mm以下の管及び棒に適用されます。異形状材、外径又は対辺距離が100 mmを超える管及び棒は、

受渡当事者間の協定によります。


銅合金鋳物はどのように選べばよい?

銅合金は、すべての特性に優れた一つの材質があるわけではありません。

加工のしやすさを重視する場合と、耐摩耗性や耐海水性を重視する場合では候補材が変わります。

材質選定では、使用環境と必要性能を整理することが重要です。

Jマテでは、材料強度だけでなく、加工方法、摺動条件、接水・海水環境、必要寸法、数量なども確認し、用途に応じた銅合金材質をご提案しています。

青銅・りん青銅・アルミニウム青銅・高力黄銅の違いは?

銅合金鋳物は合金成分によって分類され、強度、硬度、被削性、耐摩耗性、耐海水性などに違いがあります。

どの材質が一律に優れているかではなく、使用環境と必要性能に応じて選定します。

詳しくは各ページにて説明
青銅の特徴・種類・用途を見る
りん青銅の特徴・種類・用途を見る
アルミニウム青銅の特徴・種類・用途を見る
高力黄銅の特徴・種類・用途を見る

被削性を重視する銅合金の選び方

機械加工を行う部品では、材料強度だけでなく被削性も重要です。

被削性がよい材質は切削抵抗や工具への負荷を抑えやすく、加工時間や工具寿命にも影響します。

一方、耐摩耗性や強度を高めた銅合金では加工条件の調整が必要になる場合があります。

加工方法、加工形状、数量まで含めて比較します。

耐摩耗性を重視する銅合金の選び方

軸受、ブッシュ、ギヤ、摺動部品などでは耐摩耗性が重要です。

摩耗は硬度だけで決まらず、荷重、摺動速度、潤滑条件、相手材、温度などにも影響されます。

表ではアルミニウム青銅、高力黄銅の一部、りん青銅、鉛青銅などを高く評価していますが、実際の選定では摩耗形態となじみ性も確認します。

海水環境・船舶用途で使う銅合金の選び方

海水に触れる部品では、一般的な強度だけでなく耐海水性が重要です。

本比較では、アルミニウム青銅系を耐海水性◎、青銅・りん青銅・鉛青銅・ビスマス青銅系などを主に〇としています。

黄銅・高力黄銅は海水環境で脱亜鉛腐食に注意が必要なため△としています。CAC232は耐脱亜鉛性を考慮して〇としています。

耐海水性は海水温度、流速、溶存酸素、汚染、生物付着、異種金属との接触、熱処理及び製品形状で変化します。

表の評価は材料選定の目安であり、製品性能の保証値ではありません。

耐圧性を重視する銅合金の選び方

バルブ、ポンプ、水道部品など、内部に圧力がかかる部品では、材料強度だけでなく流体を漏らしにくいことも重要です。

本表の耐圧性は、JISの合金の特色、引張強さ・伸び、一般的な用途及び鋳造性を踏まえた比較評価です。

CAC402、CAC403、CAC406、CAC407、CAC408、CAC602、CAC701~CAC704、CAC901及びCAC904を◎としています。

一方、高力黄銅は引張強さが高くても、強度だけでは圧力保持性を判断できないため〇としています。

実際の耐圧性能は、鋳造方法、引け巣・ガス欠陥、肉厚、製品形状、加工状態及び検査方法によって変動します。表の評価は製品の保証圧力を示すものではありません。

CACとは?銅合金鋳物のJIS記号

CACはJISで用いられる銅合金鋳物の材料記号です。

末尾にCが付く記号は、JIS H 5121に規定される連続鋳造鋳物を示します。

青銅、りん青銅、アルミニウム青銅、高力黄銅、鉛青銅など、合金の種類や成分によって異なるCAC記号が設定されています。

材質名だけでなく、JIS記号、機械的性質、用途及び製造方法を合わせて確認します。

CAC406を基準に銅合金を比較する

CAC406は青銅鋳物の代表的な材質の一つで、水道部品、バルブ、ポンプ、機械部品など幅広い用途で使用されています。

より高い耐摩耗性、耐海水性、強度、鉛レス対応などが必要な場合は、他のCAC材質も候補になります。

本一覧では、各材種をCAC406系と比較しながら横断的に確認できます。

銅合金鋳物の材質選定についてよくある質問

Q.JIS H 5120とJIS H 5121は何が違いますか?

A.主な違いは対象となる製造方法です。JIS H 5120は連続鋳造を除く銅・銅合金鋳物、JIS H 5121は銅合金連続鋳造鋳物を対象としています。

Q.銅合金は硬度が高いほど耐摩耗性も高いですか?

A.硬度は一要素ですが、実際の摩耗は荷重、摺動速度、潤滑条件、相手材などにも影響されます。使用条件を含めて選定します。

Q.海水に強い銅合金はありますか?

A.アルミニウム青銅など、耐海水性を生かして船舶部品、ポンプ、バルブ等に使用される銅合金があります。黄銅・高力黄銅は脱亜鉛腐食への注意が必要です。

Q.耐圧性◎なら製品の耐圧性能も保証されますか?

A.保証されません。表は材質比較の目安です。製品の耐圧性能は鋳造欠陥、肉厚、形状、加工状態及び検査条件を含めて個別に確認します。

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