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銅合金辞典

記事公開日

その砲金、何に使いますか?用途から逆算する「失敗しない材質選定」

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はじめに

見積依頼段階や注文書に、ただ一言「材質:砲金(ほうきん)」とだけ書かれていることがあります。しかし、いざ材料を手配しようとすると、JIS記号にはいくつもの種類があり、どれを選べばいいのか迷ってしまうことはありませんか?

今回は、「なぜこの材料なのか?」を最短で特定し、自信を持って提案・選定するためのフレームワークを解説します。

砲金(青銅鋳物)とはどんな材料か

まず基本を押さえておきましょう。「砲金」とは、一般的に銅(Cu)にスズ(Sn)を主として加えた合金で、正式には「青銅(せいどう)」と呼ばれます。

  • 主な規格: JIS記号の「CAC406」(鋳物材)「CAC406C」(連続鋳造品)などが代表的です。
  • 特徴: スズが入ることで、純粋な銅よりも強度や硬度が上昇、流体環境における腐食にも強くなります。また、溶かして型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」がしやすいため、複雑な形の部品を作るのに適しています。

JIS規格に基づく代表的な青銅材(連続鋳造材)

CAC401C・・・青銅の中で最も亜鉛量が高く、鋳造性及び被削性が良い。

CAC402C・・・CAC406Cに比べて、錫の含有が多く、耐圧性、耐摩耗性及び耐食性がよく、かつ引張強さ及び伸びもよい。鉛浸出量は少ない。

CAC403C・・・CAC406Cに比べて、耐圧性、耐摩耗性、引張強さ及び伸びがよく、かつ耐食性がCAC402よりもよい。鉛浸出量は少ない。

CAC406C・・・耐圧性、耐摩耗性、被削性及び鋳造性の特性バランスに優れる。

CAC407C・・・耐圧性及び耐摩耗性が良い。引張強さ及び伸びがCAC406よりも良い。被削性はCAC406より劣る。

CAC408C・・・CAC406Cの低鉛組成の青銅でCAC406Cと同等の引張強さ、伸び、耐摩耗性、耐食性及び耐圧性を持つが、被削性は劣る。

CAC411C・・・硫化物を分散させた青銅で、鉛浸出量はほとんどない。CAC406Cより赤みを帯びている。CAC406Cに比べて、引張強さ及び伸びは同等であるが、厚肉鋳物の耐圧性はよい。被削性はCAC406Cより劣る。

青銅材の基本的な特徴

 

引張強さ

N/㎟

伸び

%

ブリネル硬さ

HBW

0.2%耐力

N/㎟(参考値)

被削性

鉛レス

市場流通性

CAC401C

195 min

15 min

 

90 min

90

×

CAC402C

275 min

15 min

 

150 min

30

CAC403C

275 min

13 min

 

170 min

30

CAC406C

245 min

15 min

60 min (10/1000) *参考値

100 min

84

×

CAC407C

255 min

15 min

 

130 min

42

CAC408C

245 min

15 min

 

100 min

80

CAC411C

245 min

15 min

 

100 min

75

JIS規格においては現在青銅連続鋳造鋳物においては7種類の合金が存在し、それぞれ異なる特性を有しています。

図面や形状から「使い道」を推測するコツ

相手から詳しい話が聞けない場合でも、図面の「指示」からヒントを読み取ることができます。

  • 公差とはめ合い:

穴の精度が非常にきつかったり、滑らかさ(面粗度)の指示が厳しかったりする場合は、「摺動」としての機能を優先します。この場合、より摩耗に強いリン青銅(CAC502Cなど)を検討することもあります。

  • 形状と成形:

バルブのように中が空洞で複雑な形をしていれば、「耐食性に優れる」青銅(CAC406C など)が第一候補になります。また、切削加工時間の低減や難度を考えた場合、被削性能に優れたCAC406Cを採用されるケースも多いです。

知っておきたい現代の制約:鉛レス化

一点、最近の現場で避けて通れないのが「環境対応」です。

これまでの砲金(CAC406Cなど)には、加工性を高めるために「鉛(Pb)」が含まれていました。しかし現在は、RoHS指令や水道法などの規制により、鉛を使わない「鉛レス青銅(CAC902Cなど)」への切り替えが進んでいます。

「砲金なら何でもいい」と判断せず、「仕向け地(海外向けかどうか)や水道関連の部品かどうか」を確認するだけで、選定のミスは激減します。

素材の市場流通価格

当然材料の選定にあたり、購入価格がどうかという観点は非常に重要なポイントです。例えばCAC403CCAC406C

材質選定において、機能的にどちらでも可という場合があります。その場合に、より割安でサイズ展開が豊富な

CAC406C材を採用するといった流通性や価格の判断が必要になる場合があります。

まとめ

注文書に書かれた「砲金」や「BC」という言葉は、お客様からの「この機能(サビない・滑るなど)を確保してほしい」という大切なサインです 。

自分の判断が不安なときは、「この使い道なら、耐食性を優先して青銅の系統で進めますが、合っていますか?」と確認を挟んでみましょう。

さらに材料の特性以外にも、将来における鉛レス対応は?購入価格は?といった観点も含めて総合的な判断が必要になってきます。

材料の特性や置かれている環境を理解することは、設計者の意図を理解することと同じです。一つ一つの「なぜ?」を紐解いて、現場でのベストを自信を持って導き出せるようになりましょう。

参考ページ:
青銅とは?
青銅(Bronze)の材質・特性|銅合金・CAC406C
CAC406Cページ
CAC406C(BC6C)の材質・特性|バランスに優れた青銅
CAC403Cページ
CAC403C(BC3C)|高強度青銅の特性・用途・規格値【JIS連続鋳造鋳物】
砲金(青銅)と真鍮(黄銅)の違いとは?
砲金(青銅)と真鍮(黄銅)の違いとは | 銅合金辞典





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