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砲金(青銅)と真鍮(黄銅)の違いとは

はじめに|似ているようで違う銅合金
砲金(青銅)と真鍮(黄銅)は、どちらも銅を主成分とする代表的な銅合金です。
本記事では、真鍮と砲金の違いを「銅合金としての基本的な考え方」に立ち返って整理します。
細かな数値や規格を覚えることよりも、なぜ用途が分かれるのかを理解することを目的としています。
砲金と真鍮はどちらも「銅合金」
砲金と真鍮はいずれも、銅に別の金属元素を加えて性質を調整した「銅合金」に分類されます。
純銅は導電性や熱伝導性に優れていますが、強度や加工性には限界があります。そこで、用途に応じて別の金属を加えることで、実用に適した材料が作られてきました。
砲金と真鍮の違いを理解する上で重要なのは、銅に何を加えているかという点です。
この違いが、その後の性質や用途の差につながっています。
真鍮(黄銅)の特徴|加工性を重視した銅合金
真鍮(黄銅)は、銅に亜鉛を加えた合金です。(代表的成分比 銅60% 亜鉛40%)
亜鉛を添加することで、銅よりも加工しやすくなり、切削や曲げといった加工工程に適した材料として利用されてきました。
一般的に、真鍮は次のような特徴を持ちます。
- 比較的加工がしやすい。
- 黄色味を帯びた光沢のある外観を持つ。
- 複雑な形状の部品に対応しやすい。
そのため、配管部品、金物、楽器、装飾品など、加工性や外観が重視される製品で多く使われています。
つまり、真鍮は「作りやすさと見た目」を重視した銅合金と捉えると分かりやすいでしょう。
ただし、真鍮にもさまざまな種類があり、すべてが同じ性質を示すわけではない点には注意が必要です。
砲金(青銅)の特徴|強度と耐久性を意識した銅合金
砲金(青銅)は、銅に錫を主として加えた合金です。(代表的成分比 銅85% 錫5% 鉛5% 亜鉛5%)
錫の添加によって、真鍮と比較して耐摩耗性や耐食性、長期使用における安定性を重視した性質を持つ傾向があります。
砲金は、次のような観点で整理できます。
- 耐摩耗性や長期使用時の信頼性を重視した材料。
- 色味は赤褐色寄りになることが多い。
- 鋳造による成形に向いている場合が多い。
これらの特性から、砲金は機械部品やバルブ、ポンプ部品、鋳物製品など、長期間の信頼性が求められる用途で使われてきました。
砲金という名称は、過去に大砲の砲身材料として使われたことに由来しています。
この点からも、過酷な使用条件下でも性能を維持できる材料として評価されてきたことを示しています。
砲金と真鍮の違いを生む要因
砲金と真鍮の違いは、次のように整理できます。
- 砲金:錫を加えることで耐摩耗性や耐食性、長期使用時の信頼性を重視。
- 真鍮:亜鉛を加えることで加工性を重視。
この違いが、加工のしやすさや摩耗や圧への強さ、使われる製品分野の違いとして表れます。
現場では「どちらが優れているか」という視点で語られることもありますが、実際には目的が異なる材料と考える方が適切です。
用途や使用環境によって、適した銅合金は変わります。
見た目や用途からの判断について
実務の現場では、色合いや製品の用途から材質を推測する場面もあります。
- 重量感があり、耐久性や信頼性が求められる部品は砲金である可能性が高い。
- 黄金色に近く、装飾性や加工性が重視されている製品は真鍮である可能性が高い。
ただし、表面の酸化状態や使用環境によって外観は変化します。
見た目だけで断定せず、「なぜこの用途で使われているのか」を考えることが重要です。
材料選定で意識したいポイント
砲金と真鍮はいずれも優れた銅合金ですが、万能な材料ではありません。
加工性を優先するのか、耐久性や信頼性を重視するのかによって、選ぶべき材料は変わります。
材料名や一般的なイメージだけで判断するのではなく、
- どのような環境で使われるのか
- どのような役割を担う部品なのか
といった視点で整理することが、実務における材料選定につながります。
まとめ|違いを知ることが材料理解の第一歩
砲金(青銅)と真鍮(黄銅)は、どちらも銅を主成分とする銅合金ですが、
添加される元素の違いによって、性質や用途が分かれています。
- 砲金は耐摩耗性や耐食性、長期使用時の信頼性を重視した銅合金
- 真鍮は加工性を重視した銅合金
この基本的な位置づけを理解しておくことで、銅合金に対する見方が整理され、
現場での判断や材料選定の助けになります。
まずは「何が違うのか」を正しく知ることが、銅合金を理解する第一歩と言えるでしょう。
