二重入力はなぜ起きる?|モノと情報の流れを合わせる「帳物一致」
モノは動いているのに、情報だけ遅れていませんか?
製造現場では、
「製品はすでに次工程へ進んでいるのに、システムでは未処理」
「作業は終わっているのに、Excelは更新されていない」
「現物と帳票の数量が合わず、担当者へ確認している」
といったことがあります。
Jマテ.カッパープロダクツでは、このような実際のモノの状態と、帳票・Excel・システム上の情報が一致していない状態を「帳物不一致(ちょうぶつふいっち)」として捉えています。
モノと情報の流れが合っていないままシステムを導入すると、二重入力や確認作業までデジタル化してしまいます。
そのためJマテでは、システムを考える前に、
「モノが動いたとき、情報はどこで・誰が・いつ更新されているか」
を確認します。
帳物不一致とは何ですか?
現場にあるモノの状態と、紙・Excel・システム上の情報が一致していない状態です。モノだけ先に動く、情報だけ先に処理されると、探す・確認する・修正するといった余計な仕事が発生します。
例えば、
加工完了
→ 製品は次工程へ移動
→ 紙は後で記入
→ Excelはさらに後で更新
となっていれば、モノと情報の間に時間差が生まれます。
その間に誰かが在庫や進捗を確認すれば、
「これは終わっていますか?」
「どの数字が正しいですか?」
という確認が必要になります。
問題なのは現場の人ではなく、情報を更新する場所やタイミングが仕事の流れと合っていない仕組みです。
二重入力はなぜ発生するのですか?
同じ情報を紙、Excel、基幹システムなど複数の場所で別々に管理していることが主な原因です。情報が最初に発生した場所で一度記録し、その後の工程でも再利用できる状態をつくることが重要です。
例えば、
紙へ記入
→ Excelへ転記
→ 基幹システムへ再入力
→ 月報へ再転記
となっていれば、一つの情報を何度も入力しています。
そこで、
- 最初に情報が発生する場所はどこか
- 誰が最初に記録するのか
- その情報を後工程でも使えないか
- どの情報を「正」とするのか
を整理します。
在庫はこの情報。
作業完了はこの実績。
品質判定はこの記録。
というように、「正しい情報を見る場所」を決めることも帳物一致には欠かせません。
Jマテの実体験 二重入力を「入力の工夫」ではなく「入力しない仕組み」へ
Jマテでは、客先から届くFAXや紙の注文書について、人が内容を読み取り、基幹システムへ入力する業務がありました。
そこで、紙を単純に電子帳票へ置き換えるのではなく、
FAX・注文書
→ AI-OCRで読取
→ CSVデータ化
→ RPAで取得
→ 基幹システムへ自動転記
という流れへ見直しました。
その結果、受注業務にかかっていた工数は、
月22時間 → 月1時間
となり、受注工数を約95%削減、年間468時間の削減につながりました。
重要なのはAI-OCRやRPAを導入したことではありません。
先に、
どこで情報が発生し、どこへ転記され、どこで二重確認が発生しているか
を整理したことで、自動化する場所が明確になったことです。
「入力を速くする」のではなく、「そもそも人が再入力しなくてよい流れに変える」。
これが帳票と現物の一致から考えるデジタル化です。
システム導入前に何を整理すべきですか?
人・場所・モノ・情報の流れを一つの業務フローとして整理し、「誰が・いつ・何を記録し、何を判断するか」を明確にします。その後に初めて必要なシステム機能を考えます。
例えば、
材料入荷
→ 受入確認
→ 在庫登録
→ 製造へ払出し
→ 加工
→ 実績登録
→ 完成品
→ 出荷
というモノの流れがあれば、その横に、
- 誰が作業するか
- どの帳票を書くか
- どのExcelへ入力するか
- どのシステムを更新するか
- 誰が確認するか
を書いていきます。
すると、
モノは1回しか動いていないのに、情報は3回入力している
といったムダが見えるようになります。
現場の「困った」を、そのままシステム会社へ渡さない
業務フローを整理した後、初めてシステム要件を考えます。
ここでJマテが重視しているのが、現場の言葉をシステム側が理解できる形へ翻訳することです。
例えば、
「一覧で見たい」
だけではなく、
何で検索し、何を表示するのか
まで整理する。
「自動で計算したい」
だけではなく、
何を足し引きし、誰が手修正できるのか
まで決める。
「予定が変わったら分かるようにしたい」
だけではなく、
何が変わったら、誰へ知らせるのか
まで決める。
Jマテでは、
現場課題
→ 業務要件
→ 機能要件
という順番で整理します。
先にシステムありきで考えるのではなく、
「何に困っているのか」から「何を実現すべきか」へ変換してから、必要な機能を決める。
この順番が、システム導入後の何度もかかるヒヤリングを減らします。
すべてのイレギュラーをシステム化しない
現場には必ず例外があります。
急な割り込み。
予定変更。
再製作。
特殊な注文。
異常品への対応。
こうした例外まで最初からすべて自動化しようとすると、画面やルールが複雑になり、普段使う人にとって使いにくいシステムになります。
そこで、
毎回同じルールで処理できる仕事は仕組みで流す。
判断が必要な異常や例外は人に知らせる。アクションがとれる状態にする。
という切り分けをします。
Jマテでは、これを「ニンベンのついた自働化」として現場の改善の考え方を大切にしています。
「自動化できるか」ではなく、
「自動化しても現場が困らないか」
で判断します。
モノと情報が一緒に動く現場へ
Jマテが考える帳物一致は、単に在庫数をシステムと合わせることではありません。
実際の仕事の進み方と、情報の進み方を合わせることです。
そのために、
モノと情報の流れを見る
→ 二重入力・確認を見つける
→ 情報の「正」を決める
→ 誰が・いつ更新するか決める
→ 現場の困りごとを要件へ翻訳する
→ ルーティンとイレギュラーを分ける
→ 必要な部分だけデジタル化する
という順番で進めます。
システムを入れてから仕事を合わせるのではありません。
まず仕事の流れを整え、その流れを助けるためにデジタルを使う。
それが、Jマテ.カッパープロダクツが考える「DXその前に」です。
次の「DXその前に」
データはたくさんあるのに、判断するときには担当者へ聞いていませんか?
次は、すべての情報を集めるのではなく、「誰が何を判断するのか」から必要なデータを決める方法を紹介します。
[DXで本当に必要なデータの選び方を見る]