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鋳造の品質を支える「インゴット(地金)」の役割とサイズの使い分け

鋳造の品質を支える「インゴット(地金)」の役割とサイズの使い分け
機械部品や水道金具など、私たちの身の回りにある多くの銅合金製品は、金属を溶かして型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」という工程で作られています。この鋳造工程において、最も重要な「材料」となるのがインゴットです。
現場では「地金(じがね)」とも呼ばれるこの金属の塊は、いわば製品の品質を左右する「母材」としての役割を担っています。今回は、知っているようで意外と知らないインゴットの基礎知識について解説します。
インゴット(地金)とは何か?
インゴットとは、主にスクラップ原料を溶解し、型に注いで固めた金属の塊のことを指します 。
なぜ「塊」の状態で流通しているのか
最大の理由は、「成分の安定」にあります。 インゴットは、あらかじめJIS規格などの基準に合わせて成分調整が完了した状態で製造されています 。
- 成分の決まった材料: 現場では「成分調整済みの材料」としてそのまま購入・利用できます 。
- 配合ミスの防止: 溶解のたびに複雑な配合計算を行う必要がないため、常に安定した品質の鋳物を作ることが可能になります。
インゴットが活躍する「鋳造」の現場
インゴットは、以下のような鋳造方法で製品を作るための「母材(ベースとなる材料)」として使用されます 。
- 砂型鋳造: 砂で作った型に金属を流し込む方法 。
- 遠心鋳造: 型を回転させて遠心力で緻密な製品を作る方法 。
- 連続鋳造: 棒や管などを途切れなく作り続ける方法 。
つまり、インゴットは「下ごしらえが済んだ高品質な食材」のような存在であり、これを溶解炉で再び溶かすことで、目的の形へと生まれ変わるのです。
現場で選ばれるサイズと形状
インゴットには、作業効率や溶解炉の大きさに合わせた複数のサイズがあります。当社の例では、主に以下の2種類を使い分けています。
■ 角丁(かくちょう)
断面が台形をしている、扱いやすいサイズのインゴットです 。
- 重量の目安: 5kg(半角丁)や10kgなどがあります 。
- 現場でのメリット: 手作業で持ち運びがしやすく、比較的小さな溶解炉への投入にも適しています 。
■ 大型塊(ジャンボ塊)
一度に大量の金属を溶かす必要がある場合に選ばれるサイズです 。
- 重量の目安: 300kgに達するものもあります 。
- 現場でのメリット: 大規模な生産ラインや大型炉において、効率よく溶解作業を進めるために重宝されます 。
インゴットの取り扱いと管理
インゴットは成分が保証されている便利な材料ですが、現場で扱う際には以下の点に注意が必要です。
- 保管環境の重要性: 表面に錆(さび)や汚れ、水分が付着していると、ガス欠陥(ピンホール・ブローホール)や酸化物の巻き込みなどの鋳造欠陥が発生しやすくなり、鋳物品質に悪影響を及ぼす可能性や水蒸気爆発等の安全面の影響が挙げられます。
- 事前の管理: 高品質な鋳物を作るためには、保管場所を清潔に保ち、溶解前に予熱を行って水分を飛ばすといった「材料のコンディション管理」が技術的に不可欠です。
まとめ:インゴットは「品質の土台」
インゴットは、銅合金鋳物のルーツとなる重要な存在です。
- 地金(インゴット)は、成分調整済みの「母材」である。
- 小規模な作業なら「角丁」、大量生産なら「ジャンボ塊」とサイズを使い分ける。
- 品質や安全を守るため、錆や水分などの不純要素を溶解させない管理が重要。
「ただの金属の塊」に見えるインゴットですが、その中には安定した製品を作るための精密な配合が詰まっています。この材料の性質を正しく理解することが、現場でのトラブルを防ぎ、確かな品質の製品を生み出す第一歩となります。
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