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銅合金辞典

記事公開日

COPPER、BRASS、BRONZE――呼び名の違いと、「BRONZE」が広義に使われがちな業界あるある

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呼び名の違いと、「BRONZE」が広義に使われがちな業界あるある

ものづくりの現場に関わり始めた頃、誰もが一度は戸惑うのが「銅系材料の呼び方」ではないでしょうか。

図面には「銅」と書いてあるのに、現場では「真鍮(しんちゅう)」と呼んでいたり、あるいは「ブロンズ(青銅)」という言葉が驚くほど広い範囲の材料を指していたり……。特に「ブロンズ」という言葉は、実務の現場では本来の定義よりも広い意味で使われることが少なくありません。

今回は、純銅(Copper)、黄銅(Brass)、青銅(Bronze)の3つの違いを改めて整理しながら、押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

そもそも「銅・真鍮・ブロンズ」は何が違うのか?

これら3つは、すべて「銅(Cu)」を主成分としているため、まとめて「赤色金属(Red Metals)」と呼ばれます。違いを一言で言えば、「銅に何を混ぜたか」です。

■純銅(Copper

文字通り、他の元素をほとんど含まない純粋な「銅」です。

工業的には純度99.9%以上のものが一般的で、含まれるわずかな酸素の量によって「無酸素銅」「タフピッチ銅」「脱酸銅」と細かく分類されます。

■黄銅(真鍮 / Brass

これは銅と亜鉛(Zn)の合金です。

混ぜる亜鉛の量によって、私たちがよく知る「5円玉」のような黄金色に変化します。加工しやすいため、工作機械で削る材料の主役の一つです。

■青銅(ブロンズ / Bronze

ここが混乱の元です。歴史的には銅とスズ(Sn)の合金を指してきました。

しかし現代の工業界では、スズを含まないものでも「アルミニウム青銅」や「シルジン青銅」のように、銅ベースの特定の合金をまとめて「ブロンズ」と呼ぶ「あるある」が存在します。つまり、「黄銅(真鍮)ではない方の、ちょっと特別な銅合金」くらいの広い意味で使われることが多いのです。

特性の比較:なぜ使い分ける必要があるのか?

材料選定では、「導電性を優先するのか」「強度を求めるのか」「耐食性を重視するのか」といった要求に応じて、適切な材質を選ぶことが重要です。

 導電性・熱伝導性電気や熱を効率よく伝えたい)

電気や熱を伝える能力は、純銅が圧倒的にトップです。

他の元素を混ぜれば混ぜるほど、この能力は低下します。

  • 純銅: 100%の能力(基準)
  • 黄銅: 25〜40%程度
  • 青銅: 7〜15%程度

「電気を流す、熱を逃がす」という目的があるなら、迷わず「純銅」を選びます。合金を選んでしまうと、本来の性能が発揮できなくなる恐れがあります。

 機械的強度・硬度(部品としての強さを確保したい)

純銅は非常に柔らかく、そのままでは構造物やネジとしては頼りない材料です。

  • 純銅: 柔軟で加工すると伸びやすい。
  • 黄銅: 亜鉛を入れることで硬くなり、部品として使いやすくなる。
  • 青銅: 3種の中で最も硬くなりやすく、摩耗にも強い。

 耐食性(腐食を抑えたい)

  • 純銅: 耐食性は良好ですが、大気中では表面の色が変わりやすい(緑青の形成)点に注意。
  • 黄銅: 基本的に良好ですが、特定の環境下では「脱亜鉛腐食」といって、亜鉛が溶け出す現象に注意が必要です。
  • 青銅: 海水に対して非常に強いのが特徴です。船の部品にブロンズが多いのはこのためです。

材料選定で押さえておきたい「加工」と「使用環境」のポイント

材料を選ぶ、あるいは加工する際に避けて通れないのが以下のポイントです。

削りやすさの違い

「純銅」は粘り気が強く、刃先に材料がくっつく(構成刃先)性質があるため、加工難易度が高い傾向にあります。一方、鋳物(CAC)の中でも、鉛(Pb)が含まれるものは「快削性」に優れ、複雑な形状でも効率よく削り出すことが可能です。

つなぐ(溶接・ハンダ)

純銅は熱伝導率が高すぎるため、溶接には高いエネルギーが必要です。一方、青銅系などは比較的ハンダ付けの馴染みが良く、複雑な配管部品などの接合に向いています。

環境規制(RoHS指令)

現代の製造業において、最も注視すべきは「鉛(Pb)」の含有量です。

かつては「削りやすさ」のために当たり前に添加されていた鉛ですが、現在はRoHS指令などにより厳しく制限されています。CAC900系の鉛レス銅合金などは、鉛レス・環境対応材としてのニーズが高まっています。

結論:銅系材料は「適材適所」で選ぶ

純銅、黄銅(真鍮)、青銅(ブロンズ)は、いずれも代表的な銅系材料ですが、
「どれが一番優れているか」ではなく、「用途に応じてどう使い分けるか」 が最も重要です。
つまり、答えはいつでも 「適材適所」 にあります。

  1. 電気・熱を伝えたいなら「純銅」
  2. 加工しやすく、比較的安価に部品を作りたいなら「黄銅(真鍮)」
  3. 水回りや摺動部、摩耗・腐食が厳しい環境なら「青銅(ブロンズ)」

この基本を理解しておくだけでも、現場での会話や図面の読み取りはぐっとスムーズになります。

一方で、実務では「ブロンズ」という言葉が、非常に広い意味で使われることが少なくありません。
そのため、現場で「ブロンズ」と言われたときは、それが一般的な青銅(BC系)を指しているのか、
高強度・高耐食のアルミニウム青銅(AlBC系)なのか、あるいは近年ニーズが高まっている鉛レス・環境対応材(CAC900系)なのかを、JIS規格や材質記号まで踏み込んで確認する習慣が大切です。

こうした呼び名の曖昧さを整理し、用途に応じて適切な規格・材質を選定できるようになることは、材料選定の精度を高めるうえで非常に重要です。
材質名だけにとらわれず、性能・加工性・使用環境まで含めて判断する視点が、より実践的な材料選定につながります。

まとめ

そして実際には、材料選定は「材質名を知っているか」だけでは終わりません。
鋳造方法、サイズ、必要強度、摺動条件、耐食環境、加工方法によって、
同じブロンズ系でも最適解は大きく変わります。

当社では、船舶・産業機械向けを中心に、各種銅合金鋳物、アルミニウム青銅、青銅鋳物の製造・提案に加え、遠心鋳造による高品質なブッシュ・ベアリング材の供給にも対応しています。
用途や使用環境に応じた材質提案はもちろん、JIS規格ベースでの代替材検討、鉛レス材への切り替え、寸法・加工条件を踏まえた最適材のご提案も可能です。

質の呼び方だけでは判断しにくい場合や、用途に応じた最適な選定で迷う場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
実際の使用環境や加工条件まで踏まえたうえで、最適な材質選定をお手伝いします。

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