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銅合金辞典

記事公開日

【ロボカッパー】銅建値・市況アップデート(2026/06/15~06/19)

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はじめに

こんにちは、Jマテ.ロボカッパーです。

2026年6月第3週、非鉄金属市場は「中東の地政学リスク変化」と「米国の金融政策(FOMC)」という2つの大きな波に直面しました。

今回は、615日以降、米国・イラン合意を受けて銅が一時上伸した流れと、618日以降、FOMC後のタカ派姿勢とドル高が銅相場の重しになった流れを整理します。これらの要素がどのように絡み合い、私たちの実務に直接影響する国内銅建値へつながっているのかを、LME銅相場と為替の関係から整理します。

市場を動かす2大マクロ要因:2026年6月中旬の市況背景

2026年6月第3週には、具体的にどのような出来事が市場を動かしていたのでしょうか。

価格変動の背景となった大きな要因は、主に2つあります。

地政学リスクの変動と、原油相場を介した影響

一つ目の要因は、中東地域をめぐる地政学リスクの変化です。

週の初め、米国とイランの間で、戦闘終結に向けた覚書合意をめぐる報道が伝わりました。

このニュースを受けて、それまで供給懸念から高騰していた原油先物相場は下落しました。エネルギーコストの低下や緊張緩和の見通しから、市場全体には投資家がリスクを取って買いに動きやすい地合いが広がりました。

この流れを受け、LME銅相場は一時13,800ドル台後半まで上昇しました。一方で、合意内容や今後の手続きには不透明な点もあり、相場はその後、一方向に上昇し続ける展開にはなりませんでした。事態は単純には進みません。

イランが事実上封鎖していた原油輸送の要衝である「ホルムズ海峡」の通航再開については、安全確認や機雷除去などの作業が必要とされ、船舶が本格的に往来できるようになるまでには、なお時間を要するとの慎重な見方もありました。

さらに、スイスで予定されていた米・イランの対面協議が延期されたとの報道が伝わると、最終合意への不透明感が再び意識されました。その後の報道を見ても、合意内容やホルムズ海峡の正常化には、なお不透明感が残ります。

このように、中東情勢は、原油価格や物流リスクを通じて市場心理に影響します。ただし、今回の局面では安心感と警戒感が同時に存在していたため、銅相場の判断材料としては一方向に読み切りにくい状況でした。

米連邦公開市場委員会(FOMC)とドル高の進行

二つ目の要因は、米国の金融政策を決める会合である「FOMC(米連邦公開市場委員会)」です。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を4会合連続で据え置くことを決定しました。
この決定自体は、事前の市場予想に沿ったものでした。

しかし、市場に大きな影響を与えたのは、新しく就任したFRB議長の記者会見内容です。

新議長は、足元のインフレ、つまり物価上昇への強い警戒感を改めて示し、年内の利上げを想定するような「タカ派」姿勢を打ち出しました。

この発表を受け、金融市場では米ドルが買われ、主要通貨に対する米ドルの強さを示す「ドルインデックス」は、一時100.8近辺まで上昇しました。

前述の通り、LMEの非鉄金属はドル建てで取引されています。
そのため、LME銅は米ドル建てで取引されるため、ドル高が進むと、円やユーロなどで資金を持つ需要家にとって、購入負担が重く見えやすくなります。そのため、銅相場の上昇を抑える材料として意識されます。

週後半には、ドル高や米金融政策への警戒感などが意識され、LME銅相場は13,700ドル台から13,500ドル台で推移する場面が見られました。

現場で意識すべき「現物需給」の個別材料

ここまでは、為替や金利、国際政治といった大きなマクロ要因を見てきました。

一方で、実際の金属取引や現場実務では、よりミクロな「現物の需給バランス」を左右する個別材料も見逃せません。

大きな相場の流れの裏側で、鉱山・物流・在庫などの個別要因が、短期的な価格変動につながることがあるためです。

鉱山の操業動向:Oyu Tolgoi大型銅山の事例

先週は、世界的な資源大手リオティント社が運営するモンゴルの「Oyu Tolgoi(オユトルゴイ)大型銅山」で、現地の抗議活動が発生した報道がありました。

この抗議活動により、主要道路が一時的に封鎖され、銅を精錬する前の原料である「銅精鉱(どうせいこう)」の輸送や、輸出トラックの通行が妨げられる事象が報じられました。

その後、輸送への影響は解消に向かったと報じられています。このような鉱山や輸送ルートの一時的な障害は、短期的な需給不安として相場の変動要因になります。

精練・溶錬費の低迷と製錬所の動き

もう一つ、専門的ですが重要な指標が「精練と溶錬費」です。

これは、鉱山から産出された銅精鉱を、純度の高い地金へ加工する際に、製錬所が受け取る加工手数料のことです。

中国製錬購買連合(CSPT)の四半期会合を控える中、アジア太平洋地域における精錬・溶錬費の指数は過去最低レベルに落ち込んでおり、マイナス圏にまで低下していることも示されています。

精錬・溶錬費の低迷は、銅精鉱の需給が引き締まっている可能性を示す材料の一つです。また、製錬所の採算は銅だけでなく、副産物や原料構成にも左右されます。そのため、銅精鉱の需給だけでなく、製錬所がどのような原料を選ぶかも、今後の需給を見るうえで確認しておきたい点です。

指定倉庫在庫の増減推移

現物の引き締まり具合を見るうえで参考になるのが、LMECOMEX(ニューヨーク商品取引所)などの指定倉庫における在庫の増減です。

例えばアルミでは、LME指定倉庫在庫が315,000トン台まで大きく減少しているとの報道がありました。銅についても、同じように在庫の増減は現物需給を確認するうえで重要です。

銅についても、倉庫在庫の増減は、現物の調達がスムーズか、あるいは市場に出回る量が減っているかを確認するうえで重要な指標です。

為替と並んで、定期的に確認しておきたい項目の1つといえます。現在の市場では、複数の要因が重なり合っていると見ることができます。

当社整理の参考値では、622日時点では為替161.5円でキロ2,280円となりました。

まとめ

ここまで見てきた通り、現場で扱う銅の価格は、さまざまな要因が重なり合って形成されています。

銅は、電気伝導性や加工性に優れ、電気インフラからAIデータセンター関連材料まで、幅広い分野で使われる重要な基礎材料です。

それだけに、単なる一企業の需給だけでなく、世界の景気、金利、原油、物流網、地政学リスクなどの影響を受けやすいという特徴があります。

実務においては、「なぜその価格になっているのか」という背景を確認することが重要です。

その際には、次の2つの視点を持つと整理しやすくなります。

1つ目は、マクロの視点です。
為替、金利、FOMC、原油価格、中東情勢など、市場全体を動かす大きな要因の影響が強まっています。

2つ目は、ミクロの視点です。
鉱山の操業状況、銅精鉱の需給、TC/RCsLMECOMEXの在庫など、より銅建値に近い判断材料です。

特に、価格が不規則に動いている局面ほど、慌てて判断を急がないことが大切です。

まずは、マクロの金利・為替動向と、足元の現物需給環境の両方を確認する。
その積み重ねが、仕入れタイミングや在庫リスクを判断するうえで、より納得感のある材料になります。

今後も、日々の市況レポートを一歩引いた視点で見ながら、価格の「裏側」にあるロジックを整理していきたいと思います。

※本稿は市場動向を整理したものであり、実際の取引価格を保証するものではありません。

 

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