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【トップインタビュー・後編】Jマテ.カッパープロダクツが「DX宣言」に込めた想い――現場改善から始まる、人を活かすDX
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前編ダイジェスト
2026年9月1日、Jマテ.カッパープロダクツは新たな「DX宣言」を策定し、全体朝礼で全従業員へ今後の方向性を発表しました。
前編では、生産年齢人口の減少や熟練技能者不足への危機感を背景に、「DXは目的ではなく手段」という当社の基本的な考え方を紹介しました。
いきなりシステムを導入するのではなく、まず仕事そのものを見直す。
JPSによる改善を行ったうえで、必要なところにデジタルを使う。
後編では、そこからさらに一歩進み、人を活かす考え方、人材育成、技能継承、DX推進体制、そして地域への展開について山本社長に聞きます。
前編 【トップインタビュー・前編】Jマテ.カッパープロダクツが「DX宣言」に込めた想い――現場改善から始まる、人を活かすDX | 銅合金辞典
人を減らすのではなく、今いる人を活かす
──効率化すると「人を減らすためのDX」と受け取られることもあります。
山本:
当社が目指しているのは、人員削減ではありません。
例えばRPAやシステムによって定型業務の時間が減らしています。
そこで人を減らすのではなく、生まれた時間を別の仕事へ振り向けます。この業務の変革がXの部分です。
製造現場なら、より高度な作業を覚える、改善活動をする、後輩を育てる。教える時間を増やすことができる。
事務部門なら、入力作業から分析やマーケティング、情報発信などへ新しい仕事への視野広げた業務が増やせる。
つまり、人にしかできない付加価値の高い仕事に時間を使える状態をつくることです。
人を楽にして、人を活かし現有人員でも業務を増やすことができる。そういった業務効率化を考えて進めています。

熟練者の知識を「会社の資産」にする
──人材育成や技能継承もDX宣言の重要なテーマですね。
山本:
はい、ものづくりの企業である当社にとって、長年培われてきたそれぞれの現場の技術や経験は、非常に大切な財産です。
一方で、それが特定の熟練者や担当者だけの経験にとどまってしまうと、将来にわたって技術を継承していくことが難しくなります。
これから人が減っていく中では、「誰かが知っているか」ではなく、「会社の財産として知識を残し、次世代へつないでいけるか」が、今まで以上に重要になると考えています。
そのため、現場で培ってきた知識や経験を見える形にし、若手や外国人を含め、誰もが必要なときに学び、一度教わったことを後から復習できる環境をつくっていきます。
予習で作成もしたのですが、先に現場で教わることも多いということがわかり、復習できる場が良いのではないかと現場の意見もありました。
また、当社はISOに基づく手順やルールを整備していますが、それだけではなく、実際の現場で仕事がどのような流れで行われ、どこに注意すべきかといった実務の部分まで残していくことも大切だと考えています。
これは、新しい世代に引き継ぐにあたり、例えば管理職のみしかおこなっていない、マネジメント業務などがこれにあたります。
ISOは手段であるとすると、実業務でISOの内容をどう運用しているか、これが大事だと感じました。
単にマニュアルや資料を増やすのではなく、社員が自ら学び、技術を身につけ、その知識を次の人へつないでいける仕組みにする。
技能継承を個人の努力だけに頼るのではなく、会社全体で人を育てられる仕組みに変えていく。
これも、今回のDX宣言で進めていきたい大きな方向性の一つです。
DXを一部の担当者だけの仕事にしない
──今回のDX宣言にあわせて、DXの推進体制も強化されました。どのような狙いがありますか。
山本:
これまでは、私とDX推進リーダーを中心にボトムアップとトップダウンで進めてきましたが、今回、新たに推進責任者を加え、3名を軸とした体制にしました。
取り組みが広がり、各部署で動くプロジェクトも増えてくると、経営から方向性を示すだけでも、現場を技術的に支援するだけでも十分ではありません。
その間に立って、会社全体を見ながら優先順位を整理し、部署と部署をつなぎ、取り組みを最後まで前に進める役割が必要になってきました。
今回新たに置いた推進責任者には、そこを特に期待しています。
DXは、一つの部署だけで完結するテーマばかりではありません。
製造、品質、営業、管理部門など、複数の部署が関係することで初めて解決できる課題もあります。当社は「全体最適」と言っています
課題解決を考えるときに、「これはどこが担当なのか」で止まるのではなく、関係する部署をつないで、会社として前に進めていく。
その役割を担ってもらいたいと思っています。
一方で、DX推進リーダーには、これまで以上に現場に近いところで、社員の育成や技術面の支援を進めてもらいます。
私は経営として方向性や優先順位を示す。推進責任者が全体をつなぐ。DX推進リーダーが現場を支えてて中核部署として経営企画室が推進する。
それぞれの役割を明確にすることで、DXを一部の担当者だけが背負う活動ではなく、各部署が自ら動ける仕組みに変えていきたいと考えています。
最終的に目指しているのは、「DX担当者が何とかしてくれる会社」ではなく、チームで、プロジェクトで部署、組織として一丸となり進めて行く。
各部署が自分たちの課題を自分ごととして考え、必要な支援を受けながら、自ら改善を進められる会社です。
その状態をつくるための体制強化のためのDX宣言だと考えて練り直しました。
自社のDXから「地産地消のDX」へ
──DX宣言では、社外や地域への展開も明確に打ち出しています。
山本:
当社だけが良くなればいいとは考えていません。
DXセレクション2024の優良事例に選定していただきましたが、それはゴールではなく、地域へ知見を返していく出発点だと思ってブラッシュアップして進めてきました。社内のDXから、社外、地域へと進めるDX宣言として3カテゴリー、5つの内容としました。
(少し、長く詰め込み過ぎた部分もあります 笑)
当社はコンサルタントでもITベンダーでもありませんので製造業だからこそ、成功した話だけではなく、失敗したことや課題まで話せます。
それを強みとして、産学官金の「チーム新潟」で共有する上越モデルを各関係機関に求め積極的に当社が中心となり出来ることを進めています。
当社のやり方は一企業としての事例、それぞれの会社が自分たちの現場に置き換えて考えられる知見として提供してDXの先輩としてアドバイス、また我々も一緒に勉強していきたいと思っています。
DX宣言でも、こうした連携を深め、改善とDXの実践ノウハウを共有し、地域の中で知識や人材が循環する仕組みをつくることを掲げています。
私たちの考える「地産地消のDX」のため、地元企業や県内の学校、地元行政、地域=金融と捉え産学官金で進めていく決意をDX宣言に込めました。
「めぐる資源、つながる未来。」を、DXでも実現する
──最後に、今回のDX宣言に込めた想いをお願いします。
山本:
当社のコーポレートキャッチフレーズは、「めぐる資源、つながる未来。」です。
私は、「めぐる」のは資源だけではないと思っています。
知識もめぐる。技術もめぐる。
人材も育ち、その人が次世代を育てる。
社内で得た改善の知恵が地域へ広がり、そこからまた新しい取り組みが生まれる。
そうした循環をつくることも、これからの会社の役割です。
DXは目的ではなく1つの手段。
現場を良くし、人を活かし、ものづくり力を高め、その成果を次の人や地域へつなぐための手段です。
DX宣言を出したことで完成したわけではなく、これはデジタルを通じた社内、社外、地域にむけてのX(変革)の約束になります。
ここから、社内では各部署が2028年8月に向けて一つひとつ取り組みを進めます。
ツールを導入して終わるのではなく、改善し続けることで結果がでていく、今回のDX宣言に込めた想いです。
ありがとうございました。
あとがき
山本社長、ありがとうございました。
2026年9月1日に発表したDX宣言では、JPSによる現場改善、人材育成、技能継承、デジタル活用、そして地域連携を、一つの流れとして整理され社内外にむけて発信されました。
改善を土台にデジタルを使い、生まれた時間と知識を人へ戻し、その成果を地域へつなげていく。
Jマテ.カッパープロダクツは今後も、「人を楽にし、人を活かす」ための改善、そのためのデジタル活用を、現場から着実に積み重ねてまいります。最後まで読んでいただきありがとうございました!
