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【ロボカッパー】銅建値・市況アップデート(2026/01/12~2026/01/16)
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史上最高値更新と急反落:2026年1月第3週、銅相場の激動から学ぶ「建値」の見方とリスク管理
おはようございます。Jマテ.ロボカッパーです。今週も2026年第3週の銅市況アップデートとして当社の中堅の調達マン、営業マンの立場からポイントを抑えたメルマガを作成しました。
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非鉄金属を扱う現場において、原材料の価格変動は避けて通れない課題です。特に「銅」は電気自動車(EV)やAI向けデータセンターなどの成長分野で欠かせない材料であり、その価格推移は私たちの仕事に直結します。
2026年1月月初、銅相場はこれまでにない激しい動きを見せました。今回は、銅建値(国内の取引基準価格)に大きな影響を与えたLME(ロンドン金属取引所)価格の記録的な高騰と、その後の反落の背景について、現場で意識すべきポイントを交えて解説します。
1. 銅・錫・貴金属が同時に「史上最高値」を記録
2026年1月14日、LMEの銅相場は3カ月物で1トンあたり13,407ドルの史上最高値を記録しました。「実物資産」全体に資金が流れ込んでおり、銅だけでなく錫も史上最高値を更新。さらに安全資産とされる金や銀までもが連日で最高値を塗り替えるという、異例の事態となっていました。
現場の感覚としては「あらゆる金属が書き換えられている」ような状況でしたが、これは単なる需給のズレだけでなく、世界的な政治・経済の不安が背景にあったといえます。
2. なぜ銅相場はここまで押し上げられたのか?
銅の主要生産国であるチリでは、Mantoverde銅山でのストライキが継続し、生産量が通常時の約75%まで低下していました。また、中長期的な設備投資の不足からくる供給不足の懸念も根強く、市場では「モノが足りなくなる」という心理が働いていました。
地政学・政治的な不透明感
米中間の貿易摩擦や、米国による「重要鉱物」への関税導入の可能性が大きな注目を集めました。特に関税については、実施される前に在庫を確保しようとする動きが米国への銅流入を加速させ、価格を押し上げる要因となりました。また、イラン情勢の緊迫化や、米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る政治的な懸念も、投資家が現金よりも「実物資産」を選ぶ理由付けとなっています。。
3. 現物需要の切迫を示す「在庫」と「バックワーデーション」
相場が過熱しているとき、現場や購買担当者が注目すべき指標が「LME在庫」と「バックワーデーション」(※意味は次のブログ作成中)です。
2026年1月13日時点のLME在庫は、前の日から22%も減少し、6カ月ぶりの低水準となっていました。これに加えて、現物価格が先物価格を上回る「バックワーデーション(逆鞘)」の状態が続き、一時は1トンあたり90ドル台まで拡大しました。
つまり、「バックワーデーションの拡大」と「在庫の急減」が同時に起きているときは、市場で現物が極めて手に入りにくい、非常に在庫がタイトな状況であることを意味します。これが起きると、価格は実需以上のスピードで急騰しやすくなります。
4. 最高値から一転、なぜ急落したのか?
1月14日に最高値を付けた直後、15日から16日にかけて相場は冷え込みました。その引き金となったのは、以下の3点です。
- 中国による投機規制: 金属の最大消費国である中国の当局が、過剰な投機を抑えるために取引規制(高頻度取引業者への締め付けなど)を発表しました。これにより、価格上昇を狙って買っていた層が一斉に手じまいに動きました。
- 米国の関税見送り表明: トランプ米大統領が、重要鉱物への関税導入を当面見送る方針を示しました。これにより、これまで価格に乗っていた「関税リスクへの上乗せ分(プレミアム)」が影響し下落展開に。
- ドル高と雇用指標: 米国の雇用統計などが予想以上に堅調だったことを受け、為替市場でドル高となりました。ドル建てで取引される銅は、他通貨を持つ買い手にとって割高になるため、価格の押し下げ要因となります。
5. 「需要破壊」と国内建値への波及
急激な価格高騰は、最終的なユーザーの買い控えを招く「需要破壊」を引き起こすリスクがあります。
実際に、中国の洋山銅プレミアム(中国へ輸入する際の現物上乗せ金)は1月16日に大幅に下落し、約1カ月ぶりの安値を付けました。これは、高値になりすぎて実需が購入を控えていることを示唆しています。
国内の銅建値は「LME銅価格」と「為替(ドル円)」を掛け合わせて決まります。1月16日時点の市場データに基づくと、LME価格の下落と為替の影響を考慮し、国内建値には70円程度の下げ余地があるとの見方も示されていました。LME価格が上がっても、それ以上に円高が進めば建値は上がらないこともあり、常に「為替とのセット」で考える必要があります。
6. まとめ
銅は社会インフラから最先端技術まで支える、極めて代替が難しい重要元素です。しかし、その価格は純粋な需給だけでなく、今回のような地政学リスクや各国の規制といった外部要因に大きく振り回されます。
- 相関性: 在庫が減り、バックワーデーションが広がるときは急騰に警戒。
- 注意点: 史上最高値付近では「実需」が追いついているか(プレミアムの下落がないか)を確認する。
今回の激動は、相場がいかに「不確実なニュース」によって左右されるかを改めて示しました。日々の現場作業においても、こうした市場の裏側にある動きを少し意識することで、材料調達や在庫管理の判断基準がより明確になるはずです。
本稿は市場動向を整理したものであり、実際の取引価格を保証するものではありません。
